53 / 80

過去1

『あっ、』 やってしまった、と目を覚まして 下着の中を確認する じっとりと湿っていて気持ち悪い 量は少なくてパンツの中に収まったくらいだったのがせめてもの救いかもしれない 中学卒業する頃にはもうほとんどしなかったから大丈夫だと思っていたのに。 高校に入ってからも1回しかしてないし、と 情けない気持ちになりながら 起き上がってその場で下着を脱いだ こんな日に、今日から2年生始まるのに最悪だ 『あれ、』 と、パンツを脱いで気付いた 濡れてるけど、いつもと違う いつもよりぬるぬるしていて 白い… これって、 『白いの、でた』 驚いた 最悪だと思ってたけど少し嬉しくなった だって、周りはみんなもう出ているみたいなのに おれだけいつまで経っても白いのでないから ちょっと心配してたし…恥ずかしかった そんな事誰にも言えなくて 1人で密かに悩んでいた 白いのが出ないおれは、みんなが話すようなえろい話題とかもついていけなそうだから いつも関わらないようにしていた でもようやく白いの出たんだ これでみんなと同じだ 『よかった、』 まぁ良かったけどパンツを汚してしまったことには変わりないから とりあえずティッシュで拭いて こっそりとパンツを洗いに行くことにした ついでにシャワーもあびよ、と着替えを持ってお風呂に向かう 「いっくんおはよう、早起きね」 『え、うん、』 と、完全に油断してたのに母さんに話しかけられて少しびくっとしてしまう 「あら、シャワー?」 『…うん、まぁ』 「お姉ちゃん達起きる前にさっさと浴びちゃいなさい」 『そうする、』 本当は母さんにもバレたくなかったけど 姉ちゃんたちに見つかったらバカにされる、と 急いでシャワーに向かった ◇◇ クラス替えがあって 特に仲良い人は同じクラスにはならなかった 人に自分から話しかけるのも得意じゃないし まぁ何とかなるか、とそのまま休み時間になってもぼーっとしていたけど 「なぁ」 『…』 「なぁって、」 『……おれ?』 「他に誰がいるんだよ」 『…いや、うん。なに』 「選択授業書道で一緒だったよな」 そうだっけ、 そういや見たことあるかもと 隣の席の人の顔をまじまじと見直す うん、見たことある、かも 「2年の選択何取る?」 『決めてないけど、書道はとらない』 「へえ、俺も」 見せて、とおれの机に寄りかかって おれの選択授業の用紙を覗き込んだ前の席の人 「志波祈織って名前?」 『…そうだけど』 「へぇ、かっけえ。いいな」 『…お前は?』 「俺?」 『名前』 「ああ、汰一、笹川汰一」 『へえ、だから前の席にいるんだ』 「…まぁあいうえお順だしな」 こいつも仲良い奴とクラスわかれたのかなって思ったけど 「おお、汰一も購買行く?」 と、少し離れた席のやつが通りがけに話しかけていたからそうでもないらしい 「いや、俺はいいや」 と、手を振って送り出していた 『いいの?購買』 「あぁ、俺の部活今日休みだから午前で帰れるし」 『へぇ、』 「祈織は?」 『おれは部活やってないからいつもふつうに帰るけど』 「そっか」 『汰一は、部活』 「だから今日は休みだって」 『じゃなくて、何部?』 「あぁ、バスケ。結構うまいよ」 『へえ、』 自分で上手いって言えるのが羨ましいと思った おれは脚はそこそこ早いけど 特に得意なスポーツとかもなかったから高校では部活に入ってなかった だから部活の友達とかも特にいないしな 「祈織」 『なに?』 「一緒に帰ろうぜ」 『うん』 ◇◇ 「祈織ー、いくぞ」 『んー、』 気づいたら2年生になって1ヶ月くらい経っていて いつの間にか汰一と一緒にいることが普通になっていた 「お前今日眠そうな顔してんな」 『んー、眠い。たまには1時間目お休みにして欲しい』 「それは無理だろ、高校生」 あぁ、眠い、と机に突っ伏した よく眠れなかった、というより早起きせざるを得なかった 朝方、パンツが塗れる感覚で目を覚まして 気付いたらパンツの中に白いのが出ていて それの片付けをしなきゃいけないから早起きをした 初めて出た時はおれもようやくって嬉しかったけど 寝ている間に不定期で急に出るから なんていうか……おねしょ、みたいで恥ずかしいし、片付けめんどくさいし 隠しているつもりだったのに母さんにはバレて おねしょが復活したと思われたようで 寝るとき用のパンツに付けるパットを渡された はぁ、とため息を吐いて 机に突っ伏した もうおねしょは治ったのに。 でも母さんに白いの出ることを言うのは何となく恥ずかしくて言えなかった パンツ汚していることは事実だし…… すると、よしよし、と何故か頭を撫でられる感覚で顔を少しだけ上げた 『どうしたの?』 「いや、なんか今日元気ないなって」 『…べつに普通だよ、』 「ならいいけど」 『ねむいだけ。寝てるから汰一おれのこと隠しといて』 と、汰一の背中に隠れるようにまた机に突っ伏した 「祈織、いつまで寝てんの?着替えいくぞ」 『んー、』 次体育か、 まだ眠い、起きたくない、 「体調悪い?保健室行く?」 『眠いだけ、』 「寝不足?」 『いや、うん、早く起きたから、』 「へぇ、2度寝すれば良かったのに」 『いや、寝れなかったし』 「今眠そうなくせに」 『……うんいや、汰一はさ、』 「なに?」 『あれ、の、とき、…どうしてんの?』 「あれ?」 『えっと、』 「なに?」 どうしよう、 こういうのって聞いていいのかな、 でも、男ならみんなそうだって 授業で習った気もするし 『朝………、白いの、出ちゃったとき』 「…、あー、夢精した?」 『うん、』 「うーん、……俺ほとんどしないからな」 『え、そうなの?』 え、まさかおれだけ? …まさか、おれ、おねしょもなかなか治らなかったから これも一緒なのかも 体が大人なら、ちゃんと寝てる間に勝手に出ちゃう事ってないのかも そしたら、おねしょと同じかも知れない おれ、ちょう恥ずかしい事聞いたのかも 『なんでもない、えっと、今日しただけ、普段はしないけど』 と、咄嗟に嘘をついた 「まぁ最近課題多くて忙しかったからなー」 『うん、…そう、』 「眠いなら保健室で寝ておけば?疲れてんじゃん?」 『…いい、体育でる、着替え行こ』 立たせて、と手を伸ばすと 汰一は腕を引いて立たせてくれた 「祈織、今日夢精したんだ、」 『え、いや。うん…なに?』 「いや、なんでもない、」 やっぱりおねしょと同じなのかな 恥ずかしい事を言ってしまった 『…いや、忘れろよ、恥ずかしいし、』 「あー、まぁ、そういう事もあるって」 恥ずかしい、早くおれも寝てる間に出ないようにしたいな、 ◇◇ 母さんには お布団汚したらいっくんが大変でしょ、と パンツに付ける用のパットを渡された でも、2日連続で出ちゃう事はないから 今日は大丈夫だと思ったのに お風呂に入って寝る前に母さんは 使いなさいよ、きっと疲れてるのよ と、また言ってきたし、 汰一も最近忙しかったからって言ってたし 確実に出ない自信が無かったから 仕方なく部屋で自分でパンツに付けることにした 久しぶりのもぞもぞする感覚、 かっこ悪くもこもこに膨らんだパンツを見たくなくてすぐにスウェットを履いて隠して そのままベッドに潜り込んだ 今日は早く寝てしまおう、 きっと今日しっかり寝て寝不足治ったらしなくなるはず、と頭の上まで毛布をかぶった しかし 何時間寝ただろうか まだ真っ暗な中で目を覚まして 下半身に感じるいやな感覚にすぐに気づく ひんやりしてて気持ち悪い、と 起き上がってもにゅ、と股間を触った そこで違和感に気付いてすぐにパンツの中を見ると 『…うそ、』 もあ、と広がったにおいは 白いのなんかじゃない、 もっと昔から知ってる、おしっこのにおいで もちろん、パンツの中に白いのなんてなくて パットの色は薄黄色に染まっていた 『…なんで、』 もう治ったのに、の思ったけど すぐにまだおしっこがしたいことに気付いて 急いでトイレに駆け込んだ もれる、もれる、と寝起きのせいかこんなに切羽詰まってると思わなかった ぎゅっとちんちんのさきっぽを抑えながらトイレに駆け込んでどうにか間に合って おなかの中に残っていたおしっこを全部トイレに出す 良かった、間に合った トイレの後はまたパンツを上げると 濡れてしまったパットがじっとりして気持ち悪くて、 脱衣所の所におれのおむつ捨てる用のゴミ箱が昔から置いてあるから、そこに行くと 最近は使ってなかったのにゴミ箱にはゴミ袋がかかっていて使えるようになっていた だからそのまますぐにそこにパットを捨てて 手を洗って部屋に戻ると 落ち着いたからか一気に悲しくなって悔しくて涙が滲んだ おねしょ、治ったと思ったのに、 昨日寝る前にトイレ行くの忘れてた いつもなら、忘れないでちゃんと行くからおねしょしないのに… でも、パットに収まるくらいだったし、 ちゃんとおしっこもトイレでできたからセーフ、おねしょじゃない、と自分に言い聞かせて ベッドに横になって頭の上まで布団をかぶった 朝まで時間あるから寝てしまうとおもうのに また、寝ている間に出てしまったらどうしようとか朝になったらきっと母さんにもゴミ箱を使った事とかきっとバレてしまうと考えると悲しくてなかなか眠れなかった

ともだちにシェアしよう!