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長男(匡平)
シャワーを浴びる頃にはだいぶ酔いは覚めていた
祈織が心配で急いでリビングに戻ると
祈織はソファに横になってテレビを見ていた
すんすんと鼻を鳴らしていて
泣いてはいないが落ち込んだ顔をしていた
「祈織、痛い?」
『横になってれば平気』
「もう今日は早く寝ような。ベッドいこ」
と、祈織の腕を引き身体を支えながら起こしてやる
『匡平、』
「どうした?」
『…なんでもない、ベッドいく』
元気ねえなぁ
やっぱり痛いのか、
それより気分的に落ち込んでいるんだろうか
ベッドに寝かせて
よしよしとすぐに背中を撫でると
ようやく顔を上げてすりすりとくっついてくる
『おれ、匡平に会いたくて来たんだよ』
「うん、来てくれてありがとな」
『匡平は?おれに会いたくなかったの?』
「俺もお前に会いたかったよ。でも忙しそうだったろ、」
『別に普通だよ、リモートじゃなくなっただけ』
「そうか?明日は?」
『休み』
「そっか、よかったな」
『うん、だから、来たんじゃん』
まぁ確かにな、ほぼ手ぶらできたしな
「体勢辛くねえか?」
『うん、平気』
「そうか、じゃあもう寝ちゃいな」
『…エッチしねえの?』
「足痛いだろ」
『足痛くてもエッチできるけど』
「お前に無理させたくねえからしないけど」
『やだ、する』
「祈織、もう夜遅いぞ」
『匡平、ちゅ、ちゅう、しよう』
と、ちゅ、ちゅっ、と、かわいらしく唇を当てて来るのがかわいくて腰を撫でてしまうと
ゆらゆらと腰が揺れ始める
『んっ、いだっ、んん、好き、っもっと、』
「こら、痛いんだろ、やめろ」
『やっ、しよ、匡平』
「…ちょっとだけな、」
『うん』
痛くないように
祈織の身体をベッドに寝かせて
脚の下に枕を置いてやる
「痛くない?辛くないか?」
『うん、早くう』
と、もう既に手は我慢できていなくて
もにゅもにゅと自分の中心を触っていた
「ちゅうだろ、祈織」
と、言うとすぐに首に腕を回してきて
ちゅ、ちゅ、とかわいくキスをしてくる
あぁ、かわいい。こいつこんなかわいくて大丈夫かと心配になりながらも
背中を撫でているとやっぱり俺も最近祈織不足だったからか我慢できなくなってきて
『匡平も、ちゅう、はやく』
「急かすなって」
と、頭を撫で瞼にキスをしてやると
嬉しそうにけたけたと笑った祈織
子供みてえ。怒るから言わねえけど
『きょうへ、っん、すき、』
「祈織」
『好き、もっとして』
「うん、気持ちいいのしような」
『…、ちがうじゃん』
「違う?なにが?」
『好きなのに、』
「なにが?」
『おれだけじゃん、』
と、なにか不機嫌な顔をする祈織
祈織だけ気持ちよくして寝かしつけようとしたことがバレたようだ
「今日は俺はいいから。祈織だけしよ」
『…匡平、やっぱりわかってないじゃん』
「は?なにが?」
『おれは友達とはこういう事しないってもう知ってんだよ』
「うん、だからなんだよ」
『匡平にも教えてあげたじゃん』
「いや、知ってるって言ったろ」
『もう今日は寝る、匡平したくないならいい』
と、祈織は顔を背け枕に顔を埋めた
「祈織、機嫌悪くすんなって。したくない訳じゃねえよ」
『疲れてるでしょ』
「…それもあるけど、お前だって脚痛いだろ」
『だから今日はもう寝るって、おやすみ』
と、そのままもうふを被ってしまうから
後ろから抱きしめてやると、腕の中で回って
胸元に顔を埋めてくる
機嫌を損ねてしまったのにかわいいやつ
愛おしくてそのまま背中を撫でてやる
『あし、痛くなくなったらしよ、その方がおれも匡平もいいから』
「…我慢させたか?ごめんな」
『ううん、やっぱりおれも匡平もしたい時にする方がいいし。ごめん。わがまま言って』
そんなつもりじゃなかったのに
失敗した、わがままじゃないって訂正してやらなきゃと思ったけど目を閉じてしまった祈織をわざわざ起こすのも可哀想で
そのまま背中を撫でることしか出来なかった
◇◇
しばらくして
すんすんと鼻をすする音で意識が浮上して
祈織は、と手だけで祈織を探すけれどベッドの上に祈織はいなくて
どうにか目を開けて体を起こした
「祈織、?」
『…きょうへ、い』
と、祈織が振り返ると
びちゃ、と濡れた音がして
ベッドの下に座る祈織を覗き込むと
「あー、おしっこ。間に合わなかった?」
と、ベッドのすぐ下に水溜まりを作って座り込んでいることに気付き直ぐに起き上がる
『…目覚めたのに、』
「足痛くて動けなかったろ。起こして良かったのに」
『目覚めた時には、で始めちゃってたから、』
「寝る前トイレ行くの忘れてたな、そういや」
連れて行ってやればよかった
言い出しにくかったのかもしれない、
俺本当今日ダメだな、可哀想な思いさせた、と
自分が情けなくなった
早く綺麗にしてやんなきゃな
「ごめんな、祈織。すぐキレイにしてやるから」
『…ごめんなさい』
と、祈織はされるがままで
すぐにスウェットと下着を脱がせて
身体を拭いて
タオルを敷いてベッドに座らせる
「今温かいタオル持ってくるからな」
『おしりふきでいい』
「いや、すぐ持ってくるから」
本当はシャワーでキレイにしてやりたいけど脚が痛い祈織を歩かせるのは負担だろうと考え
タオルでキレイにしてやる事にして
寝室には温かいタオルを用意して無かったから
急いで脱衣場まで行ってタオルを用意する
『匡平、ごめん』
「いいよ、俺が悪い」
『おしっこ我慢できなかったのおれじゃん』
「俺酔っ払ってたから寝る前連れてってやるの忘れてたんだよ」
このままちょっと気持ちよくしてやろうかな、と温かいタオルで拭いて
ふにゅふにゅと弄ってみるが落ち込んでいるからか反応はなくてそのまま新しい下着を履かせようとするが
『おむつ、』
「おむつの方がいいか?」
『うん、』
と、失敗して不安なのかおむつを履きたがったからベッドの下から取り出して
「祈織、ごろんして」
『テープのやつ?』
「嫌?いやなら向こうから履くやつ持ってくるけど」
『…いい、テープで』
と、祈織が横になったのを確認して
すぐにおむつを付け、スウェットを履かせてやる
あらかた片付けを終わらせて再び横になると祈織はまたすりすりとくっついて来る
「落ち込んでんの?」
『…うん』
「いいよ。落ち込まなくて」
『だって、おしっこ漏らしたら、昔と一緒じゃん』
「それの何が行けねえの?」
『……やっぱり夢だったじゃん』
「夢?なんの事言ってんだよ」
『匡平、おれのこと、』
「おれがお前のこと?」
『…だって、夢かもしれないじゃん』
「夢?」
『おれ、この前酔ってたし……寝てたし、』
「この前?なんの事だよ」
この前会った時の話か?
確かにあの時は祈織は酔っていたし寝ぼけていた気もする
その時の話と昔と一緒じゃ嫌なことのなんの関係があるのか
『………なんでもない』
「なんだよ、」
『もういい、』
「なんだよ、言いたいことあるなら言えって」
『この前のこと忘れたんだろ』
「忘れてないって。覚えてるよ俺は。仲直りしただろ」
『おれ、匡平のこと好きっていったじゃん』
「あぁ、そうだな。だから今日も来てくれたんだろ?」
『…うん』
「俺はお前が来てくれて嬉しいよ」
『本当に?嫌じゃない?』
「嫌じゃねえって」
『…おれ、今日何やっても上手くいかないし、タイミング悪かったし』
「そんな事ねえだろ、俺はお前に会えるだけで嬉しいよ」
『それなら…よかった、おれ色々失敗したと思って悲しかったけど匡平が嬉しいならおれも嬉しいし』
「俺だって同じだよ。祈織が嬉しいなら嬉しいし、なんか嫌な思いしてんのは俺も嫌だし」
『なんで?』
「なんで?」
『うん、なんで、そう思うの?』
「なんで?いや、なんでだろうな?普通のことだろ?」
『普通?』
「うん。いや。何でって聞かれると困るな」
『ええ、おれは、…匡平のこと、好きだからそう思うんだよ、匡平が嬉しかったら、おれも嬉しいって。匡平はちがうの?』
「あぁ、そうか。そういう事か」
『うん、匡平…は、?』
「俺も同じだよ」
『本当に?』
「あぁ、本当」
『それって、匡平もおれのこと好きだからおれが嬉しいと嬉しいし、悲しいと悲しいの?』
「あぁ、だからそうだって」
『…そっか、』
と、祈織はすぐに俺に抱きついてきて顔を隠した
『匡平、おれたちって、』
「うん」
『恋人同士ってことでいいの?』
「…あぁ、そうなるのか、」
今までと変わらないと思ってたけど
いや、今更そんな事確認する必要があるのかも疑問だった
だって、俺は昔からずっと祈織の事が好きだし、ずっと伝えていた
『嫌?』
「嫌じゃねえよ、」
しかし、そこでようやく祈織が悩んでいた事を俺も理解してしまった
俺と違って祈織は若い
そして家族構成的には末っ子だけど長男だ
俺が結婚しないのかとか
普通に幸せになって欲しいとか
そんなよくわかんねえこと言ってんなよって
この前は思ったけど
祈織の未来、俺と一緒にいていいのか?
祈織はずっとそこまで考えていたっていうのか
俺よりずっと大人じゃねえか
「なぁ、お前は俺といて後悔しねえの?」
『うん、おれは匡平のこと好きだから』
すり込み、じゃねえよな?この感情、
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