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感覚(祈織)
匡平は午後は早めに帰ってきて
家で仕事の続きをすることにしたらしく、
仕事部屋にいるから何かあったら呼んでと言って
仕事部屋にこもっていた
おれは定時で仕事を終わらせて
待っていたけど
暇すぎてソファに横になった
早く匡平の仕事終わんねえかなあ
終わったら匡平と何しようかな
匡平と一緒に住んでる時って何してたっけ、2人で
一緒に映画見たり
ご飯食べたりえっちしたりかな
せっかくまた一緒にいるんだから
一緒にゲームとかもしてえな、と
スマホで通販サイトを開いてSwitchを注文する
あと脚治ったらたまにはおれもご飯作ってやろ、と調理器具を見ていたけど
うとうとしてきていつの間にか眠ってしまった
「祈織、起きな、夜寝れなくなるぞ」
と、揺らされて目を覚まして
身体を起こした
アマプラで明日届くから、ゲームやろ、と言おうとして身体を起こすと
じと、と下から濡れた感触がして固まる
『え?』
「どうした?」
うそだろ、とスウェットの中に手を突っ込んおむつを確認すると明らかにずっしりしていて
むにむにとした感触
『…、』
ちょっと寝ただけだったのにおねしょした
大人なのに、
「祈織」
と、匡平に言われて
言わなきゃ、と匡平の顔を見た
『匡平、あのさ、』
「待たせてごめんなー、暇だったよな」
と、匡平はおれの頭を撫でた
『…うん、仕事だから、あの、』
「おむつ変えたら飯にするか。お前待ってたから腹減ってんだろ」
『うん、』
さっさとキレイにしちゃおうなーと
なんでもない事のように言って
おれのスウェットを脱がせた
『おねしょ、』
「仕事中コーヒーいっぱい飲んでたろ、祈織」
『…うん、』
「コーヒー飲んだら寝る前はトイレな」
『いつの間にか寝てたんだって』
本当は大人だから自分できれいにも出来るけど。
足も痛いし自分でやると悔しいから匡平にやってもらお、とそのまま甘える
『匡平にキレイにしてもらうの好き』
「お前甘えん坊だもんなー」
と、タオルで拭いてくれてそのまま匡平はわざとおれの下の毛の所をこしょこしょとくすぐった
『ちょ、くすぐったい』
「いや、祈織かわいいから」
と、おむつは片付けてパンツを履かせてくれた
『パンツでいいの?』
「不安ならおむつでもいいけど」
『パンツ』
「パンツなー」
おむつだと匡平えっちしてくんないもんな
『うん、パンツがいい』
パンツを履かせてもらって
おねしょしたのももう気にならなくなった
「もうおしっこでない?大丈夫か?」
『でない、したくない』
匡平おもらしすると優しくしてくれんだ、と
昨日も感じた事を思い出してもっと甘えたくなる
『匡平、』
「どうした?」
『抱っこ』
「お、抱っこしてえの?」
『ダメ?』
「ダメじゃねえ」
おいで、と甘えさせてくれて
嬉しくて身体をすりすりと擦り付けた
『あ、』
「どうした?」
『ゲームしよ、明日』
「明日?いいけどどうした。急に」
『匡平と仲良くしたいって』
「仲良く?なんで?仲良いだろ、俺ら」
『じゃなくて普通に仲良くしたいんだって』
なんでわかんないかなあ
やっぱり匡平10歳年上だから感覚違うのかな?
「なんだよ、その顔」
と、ほっぺたをむにっとつぶされて
口がとがってしまって変な顔になる
おい、変な顔にすんな、と手を振り払う
『おれの気持ちわかんねえ?』
「仲良くしたいってやつ?」
『うん』
「ごめん、わかんねえ。普通に仲良いだろ?今更どう変わるのかわかんない」
『…だってさ、変わるとかじゃなくて普通に仲良くしたいじゃん?一緒にいて楽しいって』
「あー、俺と一緒に遊びたいって事か?」
『うん、それ』
「それならそう言えよ」
『だって、匡平はおれがしたいって言ったら一緒にしてくれんだろ?』
「そうだろ?」
おれに付き合って一緒にやってくれるんじゃなくて
匡平もやりたいって思って一緒にやってくれるのが一番嬉しいんだけどな
でも、それを言ったら
それもそれで違う気がした
「つか俺だってお前といたら楽しいけど」
『本当に?』
「なんで嘘つく必要があるんだよ」
『だって匡平あんまり顔変わんないからわかんないんだもん』
「そうか?俺結構表情豊かだろ」
『そんな事ない』
嘘ついた時は結構すぐ分かるけど
変な顔するから
「まあいいや。じゃあ明日は一緒に遊ぼうな、ゲームしてって言っても俺そんなゲーム得意じゃねえけど」
『教えてあげる』
匡平は何して遊ぶのが楽しいのかな、
映画とかテレビ観るのもおれの好きなの見せてくれるし
『匡平って趣味とかないの?』
「なんだよ、急な悪口」
『悪口じゃねえって。かくにん。何が好きなんだろって』
「何が?」
『テレビとか、ゲームとか』
「テレビか。あー、大河ドラマは見てるけど」
『あー、』
確かにあれ見てる時匡平おれに構ってくれないから嫌いなんだよな、大河ドラマ
でも匡平が好きなら邪魔しないでおれも今度から一緒に見よ
匡平と一緒で好きになるかもしれないし
『おれ匡平の事好きだから匡平が好きな物一緒にしたいなって』
「お前最近やけに素直というか…」
『だめ?匡平の事好きって言ったら』
「ダメじゃねえよ。可愛い」
飯食お、おいで、と
動くのを手伝って来れながら言う匡平
『だって。今まで言うの我慢してたからいっぱい言いたいだろ?』
「我慢してたの?なんで?」
『だって、恋人じゃないのに嫌かなって』
「嫌なわけねえだろ。ただ、そうハッキリ言われるとちょっと照れくさいな」
そうなのかな、おれは匡平がおれのこと好きって言ってくれたら嬉しいけどな
あんまり言ってくれねえけど。
『匡平はおれのこと好き?』
「なんだよ、急に。当たり前だろ」
『じゃなくて、ちゃんと言って』
「…好きだよ、祈織の事」
と、匡平に言わせて
なんかちょっと違うなって思った
言わせるんじゃなくて普通に言って欲しいな
いや、欲張りすぎるか
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