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朝飯(祈織)
病院に行ったら
もう脚は大丈夫って言われて
まだそんな走れないけど
普通に歩く分には問題なくなっていた
良かった、匡平の誕生日になる前に治って
匡平の誕生日はお祝いさせてくれるか分からなかったけどおれはその日休みにしていて
匡平にさりげなく聞いてみたら匡平も休みにしてくれそうだった
恋人になってから最初の匡平の誕生日なのに
匡平はあのころと変わらず
おれにカレーを作ってほしいと言った
別にいいんだけどさ。
でもなんか持っと大人っぽいことできんのに、おれも
もう大人だからちゃんとお祝いのしかたとかしってるし
まぁ、全部匡平に教えてもらったやつだけど。
ちょっと高いお店の個室予約して
コースとか食べに連れて行ってあげたりでしょ、誕生日って。
なのに匡平はおれのカレーが食いたいとかいうからしかたなく夜ご飯はうちで食べる流れになってしまう
あ、あのケーキ屋さんまだやってるかな。
ケーキ予約しよ
でもおれも匡平ももう若くないから
丸いケーキ食べれない気もする
でもプレートつけたいな、チョコのやつ
誕生日おめでとうってかいてあるやつ
丸いケーキじゃなくてもケーキ屋さんにお願いしたら付けてくれるかな
と、休みの日にゴロゴロとしながら考えていたが
「祈織ー、お前いつ自分の家帰る予定?」
と、匡平に聞かれて
そういえばもう1ヶ月近くこっちに居ることに気が付く
たしかに足も治ったしそろそろ家帰らなきゃな
片付けとか色々しなきゃまずい、そろそろ
『あー、次の休み。4日後』
「え?まじ?急だな」
『それ逃すとしばらく忙しくなるから時間取れないし』
「ええ、寂しくなるな」
『大袈裟だよ、すぐ会えるじゃん』
「まぁそうだけどよー」
と、匡平が頭を撫でてくれたのがうれしかった
匡平もおれのこと好きなんだよな、きっと
『どうしようかなあ、ベッドとか』
「何が?」
『いや、だからおれのベッドとか。どうしようかなって。こっちに置くところ無いじゃん』
実家に送ろうかな
「ん???お前のベッド?」
『だから、おれの家の方にあるやつ!もう実家送るからいいよ』
匡平も寝ぼけてんのか?
まあいいや
「ん?実家?」
『なんでもない。もういいって』
もっかい寝よ、とそのまま目を閉じようしたが
「祈織、二度寝するならトイレ行ってから寝な。俺もうすぐ仕事行くから」
『んー、めんどくさい。そんな行きたくない』
「目覚めてるんだからちゃんと行け。寝てる間に出ちゃっても俺仕事いってるぞ」
『……だから、もう大人だから大丈夫』
「寒いからおねしょするぞ、お前」
『何歳だと思ってんだよ、おれの事』
知らねえからな、ともう一度言って部屋を出ていった匡平
なんだよ、おれのこといつまでも子供みたいにして。
ちゃんと恋人って認識しろよ
そういえば、とゴロゴロしながら
荷物を漁って、箱を取り出して
その中からおれの大事なもの、
匡平がつけていいって言った指輪を指につけてみた
ベッドの上に座り直して
まじまじと眺めてみたけど恥ずかしすぎて直ぐに外した
いや、無理だって、今さら匡平の前で付けられない
昨日は付けるって言ったけど
あらためてつけてみたらやっぱり恥ずかしかった
もらってすぐの時に
誰も見てない時に1人でこっそりつけて眺めてただけだった
匡平の家を出てからは指につけることはしないで大事にというか見えないようにしまっていた
でも、匡平が付けていいって
許可してくれたんだ
つけよう、ともう一度指にはめて
目が覚めてしまったからそのまま起き上がってリビングにむかった
『匡平』
「おお、祈織。起きた」
『うん、起きた』
「朝ごはん一緒に食うか?」
『くう、作ったの』
「あぁ、しばらくしたら祈織が腹減らして起きると思ったから」
『ありがとう』
匡平はおれの前にプレートにのせた朝ごはんを置いてくれる
おにぎりとかひと口サイズに切られた卵焼きとか
昔良くしてくれたやつ、手とフォークだけで食べれるやつ
『星の人参は?』
「なに、お前まだあれして欲しいの?」
『だってこのメニューだと欲しいんだもん』
「ごめんごめん、夜してやるから」
『別にいいけどさあ』
聞いてみただけだし、とそのままフォークを手に持った
その時、一瞬だけ匡平の視線がおれの右手の薬指に来て恥ずかしくなったけど
なんにもない顔をして卵焼きを食べる
『……、うん、うま、い、』
「そっか、……良かった」
『……うん、』
なんだこれ、きまずい
なんか言った方がいいのかな
でもなんか改めてなんて言ったらいいかもわかんねえし
『匡平は、』
「うん、どうした?」
『……おれのこと、甘やかしすぎ』
「今更だろ、そんなん」
『そうだけどさあ』
「なんで、嫌だった?この朝飯」
『ううん、すきだけど』
「ならいいだろ」
何となく気まずくて
やっぱり指輪外そう、と右手の薬指から指輪を外す
「なに、外すの?」
『恥ずかしいじゃん』
「まぁ、どっちでもいいけど」
『…じゃあ付けるから。匡平変な顔すんな』
「いや、俺もなんていうか照れくさいんだよ」
『へえぇ、じゃあ付けておこう』
おれだけだと思ってた、恥ずかしいの
匡平もおれのこと、ちゃんと恋人だから照れくさいんだよな、それって
ずっとつけてたら慣れるかな
あ、でも仕事の時は流石に外すかもだけど
『匡平、仕事行っちゃうの?』
「あぁ、行くけど」
と、ご飯を食べ終わってさっさと
仕事に行く準備をしてしまう匡平
おれはまだご飯食べ終わってねえけど、と準備をする匡平の後ろをついて歩く
『へえ、』
「寂しそうな顔すんな」
『してねえし』
「祈織、朝ごはん食べ終わってねえだろ」
『後で食べるよ』
「食わせてやらないと食えねえの?」
『子供じゃねえから食えるって』
と、また子供扱いする匡平にちょっとムカついた
『ねえ、行く前にえっちしよ』
「しない。時間ねえから」
『ええ』
「祈織が早く起きねえからだろ」
と、匡平はこっちを向かずにさっさと玄関に向かってしまうから
『…そうだけど』
「帰ってきたらしよ」
『早く帰ってこいよー』
行ってらっしゃい、と手を振った
匡平、今日はえっちしてくれんだ
最近おれの足が痛いからってしてくれなかったのに。
朝ごはんの続き食って色々予約とか手続き済ませたら夜に備えて昼寝してよ
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