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目眩(匡平)

『匡平、今日はこの靴一緒に履いていきたい』 と、玄関で2人分の靴を用意した祈織 「おお、履こうか」 それは数年前にプレゼントで祈織がくれた靴だった 俺がお揃いの物と行ったら考えて用意してくれたもので 大事にしすぎてそんなに履いていない靴 まぁ、防水スプレーとかしてキレイに保つようにはしているから何度か履いてはいた 『匡平とデートだからお揃いのにしたい』 と、かわいすぎる祈織に朝から目眩がした 『匡平、こっち並んで。おれがまとめてQRするから一緒に入るよ』 と、約束の信長展につくと祈織が先導してくれて 言われるがままついて行く 朝はグズグズしてて、ちょっと泣かしかけたが 今はご機嫌が治って張り切っているところが今日もかわいい 係のお姉さんに祈織がスマホでQRを差し出して2人まとめて入場処理をしてくれる 『匡平、こっちに大河特集のやつあるよ。匡平大河好きだからいこ』 「ああ、ありがとう」 と、調べてきてくれたようで 自信ありげに案内してくれるところもやっぱりかわいい かわいい俺のワンちゃん。いや、恋人か と、そんな気持ちで祈織を見ていたら何か不機嫌な顔をした祈織 『匡平』 「どうした?」 『ちゃんと見てる?おれのことばっかり見てんじゃん』 「あぁ、見てるよ」 『ならいいけど。なんか難しい顔してっし楽しくない?』 「そんなことねえって、楽しいよ」 『ならいいけど。つかこれ何?誰の?』 と、衣装の展示を指さす祈織 「これは信長の幼少期のやつ」 『へえぇ』 「こっちが大人になった時に着てたやつな。すげえな、まじで」 細部まで作り込まれてるな 『あっちに撮影のセットみたいなやつもある、写真撮っていいやつだよ』 と、指をさして俺の服の袖を少し引いた 撮影のセットやら衣装 あとは年表や当時の物と思われる手紙など実物など 見応えがあって結構じっくり見てしまった 祈織はあっちに何がある、と見どころを説明してくれていて俺ばっかり楽しんでしまった 「祈織、そろそろ腹減っただろ。なんか食おうか」 『うん、あっちにコラボカフェあるよ』 と、それも教えてくれる 何があるかな、とパンフレットを開いて様子を見た時だ 『…あ、その前におしっ、トイレ、行ってくる』 と、コソッと俺の耳元で行って急いでトイレに向かった祈織 しまった、忘れていた 気付けば結構時間が経っていたのだ 祈織のトイレを気にするのを忘れていた 失敗した、あいつ今日朝も失敗しかけたしおねしょもして落ち込んでいたのだ そういう日は失敗することも多かった と焦って俺も追いかける ここのトイレ大丈夫かな、暗かったり狭かったりしたらあいつ入れないだろ トイレどっちだ、と確認をして 到着した時だ 『なに?匡平もトイレ?』 と、ちょうど終えたのか手を拭きながら出てきた祈織 「あ、いや、間に合ったか?」 『うん、そんなギリギリじゃなかったし。場所もちゃんと事前に確認しといたから』 「お前走ってたからギリギリかと思ったぞ」 『それは匡平待たせてるから急いだだけじゃん』 「そっか。急がなくてもよかったが、早めに行けて偉かったな」 『別にトイレくらい、ちゃんと行けるって』 「あぁ。そうだな」 と、ちゃんと行けたことに安心した 『わざわざ心配しなくて平気だよ』 「そうだったな」 そりゃそうか、もう大人だしな 自分のクセもわかって事前にトイレの場所を確認できるくらいには大人だった 『決めた?ご飯何にするか』 「あぁ、これにする」 と、本能寺の変定食に決め カフェに向かった 『信長だった、匡平にあげる』 と、信長ブロマイドを当てた祈織は俺にくれて 江戸幕府ハンバーグを食べていた 「なあ、俺は楽しかったけどお前興味なかったよな?退屈しなかったか?」 『匡平が楽しそうだったからおれは楽しかったよ』 「いや、でも」 『匡平だっておれが楽しそうだったら楽しいでしょ。いつも一緒にコナンも見てくれるじゃん』 「あぁ、そうか」 そういやそうか、そういうものか 『それにおれもちょっと興味湧いたし。匡平の好きな物一緒に見るの楽しいからもうちょっとちゃんと勉強しようかな』 と、ニコニコしながら言うからかわいすぎて本日2回目の目眩がした 俺の恋人可愛すぎんだろ それに顔が良いよな、まず 「この後はどうする?」 『カレーの材料買ってケーキ買って、あ、ケーキは予約してある』 「へえ、予約してくれたんだ」 『うん、あとは家でパーティー。カレー作るの、時間かかるし』 「そうか、俺も手伝うよ」 『だめ。おれが作るから。つかおれがカレー作ってる間匡平暇だからなんか暇つぶしのも買って帰ろうか』 「いいよ、お前の事見てるから」 『やだよ、気が散るじゃん、やめろよ』 「なんで?いいだろ?祈織が俺の為にカレー作ってるところ見てえし」 『………匡平、おれのことすきなの?』 「だからそうだって、なんだよ急に」 『ふーん、……コーヒーのんで買い物して帰ろ』 「あぁ、そうだな」 立たせて、と祈織は甘えて手を伸ばして来るから 手を引いて立たせてやって コラボカフェを出ようとした時だ 「あ、社長だ。こんにちは」 「あ、瀧」 「あ、志波さんも」 『こんにちは、たきさん、』 「偶然だな、あー、瀧も好きだよな。こういうの」 「はい、今日から開始だから来ました」 「そうか、1人か?」 「はい、まぁ…。社長あれ見ました?年表のやつ」 「あぁ、見た、すげえ詳しかったな」 「あれは見ました?塀。再現ですけど凄かったですよ」 『へい…?』 「築地塀か?そんなのあったか?」 「あれ?見てないですか?あっちですよ」 と、瀧が指を指す そういえばそっちのエリア行ってなかったかもな 「どこだ?祈織、ちょっと行ってもいいか?」 「あっちです」 『うん』 と、瀧に案内してもらいそっちの方面に向かった やべ、テンション上がるな、これ

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