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助手席(匡平)

『…といれ、匡平、といれ』 「は?もう無理?」 『うん、漏れちゃうかも、』 と、車の助手席で大人しいと思っていた祈織がポツリとつぶやいた 「なんで言わなかったんだよ」 喫茶店の後 スーパーで買い物をして 予約していたケーキを受け取って家に向かっていた 『……、我慢できると思った、家までは、我慢しようとしてたのに』 「もうちょいで家だからできるだけ我慢しな」 『うん、』 と、もぞもぞと腰を揺らしながら言う祈織 祈織だってもうすぐ家だってことくらいわかってるだろう それなのに俺に伝えて来たと言うことは もう我慢出来ないということなのか 「携帯トイレなかったっけ、その中」 と、ダッシュボードを指さすと 祈織はすぐにそこを開けるけど 『ない、』 と、情けない声を出した 「あと何分我慢出来る?」 『もう、すぐ漏れちゃうかも』 早めに言ってくれればコンビニによったりも出来たというのに 「おむつ、」 『ここで履くの』 「それしかねえだろ」 と、信号で止まったタイミングで 後部座席からタオルとおむつが入った紙袋を取り、祈織に手渡す 『やだ、恥ずかしい』 「おもらしの方が恥ずかしいし俺の車が汚されんの困る」 『……履いておくだけだから、家まで我慢するから』 「うん、そうしな」 『見んなよ、』 と忠告して腰にタオルをかけてゴソゴソと動いていたが 『ん、っ、漏れちゃう、』 と、タオル越しにぎゅっと自分の中心をにぎった 脱いだ途端尿意が増したのだろうか 『あ、っ、』 「出たか?」 『ちょっと、もれた、』 「早くおむつ履きな」 『だって、』 と中心にタオルを集めてぎゅぅ、と抑えていて 『んっ、、っ、』 ふるふるとふるえていて必死におしっこを止めようとしているようで ふわりとおしっこの匂いがする そして、少し落ち着いたのかゆっくり中心をから手を離して ゴソゴソとおむつに足を通して ズボンごと上げた 『たおるに、おしっこ、しちゃった、』 「全部でた?」 『…ちょっと、』 「袋入ってるからその中にタオルいれときな」 『うん』 「お腹苦しいだろ、おむつ履いたなら出しちゃいな」 『…やだ、…ちょっと出したらマシになった、からおむつにださないよ』 と、既にちょっと出してる時点でだいぶおもらしだが祈織的にはセーフらしいから言わないでおく マシになったと言っても やっぱりおしっこはしたいようで もぞもぞと腰を動かしていて 今にも漏らしてしまいそうだ 『っ、んん、』 「後ちょっとだからなー」 と、祈織を励ますと 祈織は赤い顔でちらっと俺の顔を見た 「我慢できないか?」 『おしっこ、またちょっとでた、』 やけに素直だな、と思ったが ぜんぶ隠さず言葉にしていることに気付く なるほど、わざとおもらししてんな、こいつ さっきまではちゃんとトイレ行ってたのに 甘えたくなったのだろうか 「ほら、家ついたぞ。後ちょっと我慢だ」 と、わざとおもらしをしていることに気付いてない振りをして 祈織の腰を支え車から下ろしてやる 『んん、でる、』 と、すぐにしゃがみこんでしまったから 腕を引いて立たせる 『あっ、急にっ、』 と、足をガクガクと震わせるから 腰を押さえて座り込まないようにすると 背筋を震わせた 「どうした?出ちゃったか?」 『…ぁっ、んんー、』 「ほら、おもらしダメだぞ。部屋戻ろ」 『…でちゃった、』 「全部?」 『うん、』 と、少し俯いて 顔を赤くして伝えてくる ぐしゅぐしゅ、と敢えておむつの前をさわって おもらししたことを伝えてくる 「早く言わないからおもらししちゃったんだろ」 『おもらしした、ごめんなさい』 「おもらしたくさんした?」 『…うん、』 「触らせて」 と、おむつの前を俺も触ると まだ温かくてもこもこに膨らんでいた あー、そういやアイスコーヒー飲んでたよな 喫茶店出る前にトイレ行かせなかったな、 まぁ行きたくなったら自分で行けただろうに行かなかったのはやっぱりわざとだろう 「あーあ、たくさん出てるな」 『…うん、おむつ、変えて欲しい』 「お部屋着いたらきれいにしような」 『あ…』 と、脚を止めたからどうしたのかと俺も脚を止めると じわじわと足の付け根部分を濡らし始めた 「溢れたか」 『…もー、むり、恥ずかしすぎる、』 と、顔を背ける 「たくさん出てんだな」 『だって、』 「タオルにもおもらししたのにな」 『…言わないで、』 「おもらし恥ずかしいから部屋着くまで俺の後ろ隠れてな」 と、後ろを歩かせてエレベーターまで向かうと 心細そうに祈織は俺の袖を掴んで歩く 誰にも会わずに部屋まで戻れて 「そのままシャワー行くか」 と、シャワーに連れて行き ズボンを脱がせてやる 「あ、おむつちゃんとつけられてねえじゃん、ギャザーちゃんとしないから横漏れしたんだろ」 『だって、車で、タオルで隠してたし…自分で上手く出来なかったんだもん』 「上、濡れないように抑えときな」 と、シャツを濡らさないように持たせて おむつの横を破って脱がせてやる 「コーヒーの匂いする」 『ばっ、か、…におい、嗅ぐなよ』 「おしっこのにおい恥ずかしいな、祈織」 『ばか、最低』 「おもらしすんのが悪いんだろー」 と、さっさとシャワーで流してからボディソープで洗ってやるとすりすりと手に擦り付けてくる 『きょうへい、』 「やらないぞ、ここでは」 『なんで』 「だってお前これからカレー作るだろ」 『…そうだけど、』 「よし、キレイになった。リビング行こ。あ、ケーキ冷蔵庫入れなきゃな」 と、タオルを渡したが 『拭いて』 と、ふくれっ面になってタオルを突き返してくる 「甘えん坊だな」 『いいだろ、たまには』 拭いてやるか、とタオルで包んで足から拭いてやって 新しいパンツも履かせてやるとそのままとぼとぼと後ろを着いてくる 落ち込むならおもらししなけりゃいいのに 「たまにじゃなくてもいいけどな」 『そんな、大人だから甘えないし』 「祈織、お前おもらしすると落ち込むんだからおもらししなくても甘えていいんだぞ」 『………じゃあ、次からはそうする、』 「うん」 やっぱり今回はわざとだったらしい かわいいやつ

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