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即入居可(祈織)
即入居可、
ここから近いところ
駐車場もあって、
と家の条件を入れて調べてみるけど
おれ匡平の所に働いていた時より収入ちょっと今下がったからな…
家賃区切るから希望通りの家出てこないし
だいたいここら辺家賃相場高いんだよな
空き時間にずっと賃貸の情報を見ていて、
仕事の後もずっと探していたけど
全然希望通りの家が見つからなくて
いい家があっても入居時期が先だったりで
見つけられなくて焦っていた
どうしよう、はやく、今すぐにでも家を決めなきゃいけないのに
その時だ
仕事終わって、今からそっち向かう
と、匡平からLINEがきた
あ、今日一緒にご飯食べに行くって話してたじゃん
仕事後準備しとけって言われたのに忘れていたと急いで立ち上がって服を着替えた
そうだ、肉寿司食いたいって言ったのおれじゃん
とりあえず顔洗って歯を磨いて
髪を整えた
匡平からLINEが来てから15分くらいだから
そろそろ匡平着くだろう
下で待ってる事にして
下行く、と匡平にLINEして
スマホと鍵だけ持って靴を履いて家を出た
けど、エレベーターのボタンを押した瞬間
『…おしっこ、』
やば、おしっこ急にしたい、と気付いて
急いで部屋に戻る
そういえば仕事中全然トイレ行ってなかった
鍵、鍵、とポケットにしまってしまった鍵を急いで取り出して開けて
上手く開けられなくてガチャガチャしたけど
どうにか鍵を開けて家に入ると
靴を脱ごうとした時にじょわ、とパンツの中が熱くなって焦ってしまって余計靴が上手にぬげなくなる
『んっ、もれるっ、』
でちゃう、でちゃう、と
焦って靴を脱ぎ散らかして
『あっ、っ、』
でる、でる、と
ぎゅうぎゅう抑えながらトイレに向かうけど
もう出し始めていて
ちょろちょろと零れていて
せっかく着替えた服も靴下も濡らして
ぽたぽたと床に零れてしまう
『んんっ、もうっ、』
むり、と脚が止まってしまって
温かい物が脚を伝って
足元からびしゃびしゃと音がなってしまう
『ぁっ、はぁ、っ、ぁあ、ぜんぶ、でた』
全部出てからようやく、
やってしまったと顔から血の気が引いていくのを感じる
やばい、もう匡平待ってんのに、
今日おむつ履きたくないって朝匡平に言ったのに
怒られる
早く着替えて早く片付けなきゃ
多分まだついてないしついたとしてもLINEしたからきっと下で待ってるはず
早く片付けなきゃと思ってんのに
何からすればいいかわからなくなって
タオルを取りに行こうとして
びしゃ、と水たまりを広げて
『あー、もう』
先に服を脱がなきゃ被害が広がる、と
1度立ち止まってその場でベルトを外すけど
靴下から脱がなきゃ脱げない、と靴下を引っ張って脱ぐけど
濡れてくっついて上手く脱げない
『…はぁ、』
もう嫌になってきた
おれ本当に何やってんだろ
家探すのに必死でトイレ行くのも忘れておしっこ漏らしたし、
匡平待たせてんのにもう急ぐのも嫌になっしまった
なんか虚しくなってきた、大人なのにいつまでもおしっこ漏らすし、と、その場に座り込むと
べしゃ、と濡れた音がして水たまりが広がった
どうしよう、と涙が滲んだ
ガチャ、と玄関のドアが開く音がして反射的に振り返った
「祈織ー、準備どう、あー、大丈夫か?」
『きょ、』
「漏れちゃったか?どうした?体調悪い?」
『ちがう、』
「そっかそっか、タオル持ってくるから待ってろー」
と、匡平はすぐにタオルを取りに行ってくれる
『下行くって言ったろ、』
「いや、来なかったからどうしたかなって」
『…すぐ、行くつもりだった』
自分ではくっついて上手く脱げなかった靴下を
匡平はすぐに脱がしてくれて
『汚れるよ』
「別にいい、気にしねえし」
『良くねえだろ、』
「泣いてんじゃん。どした。辛かった?」
『…だって、』
「泣かなくていいから」
『匡平とご飯行くって、』
「着替えて今からいくか?明日でもいいし」
『明日は、…ここに泊まらないから』
「そっか、じゃあ着替えていくか」
と、ズボンもぬがしてくれようとするけど
『うん、』
上手く動けなくて
匡平は自分が汚れてしまうのも気にせず
うまく動かないおれを支えて脱がしてくれる
服が脱げるとタオルを巻いてくれて
「よし、風呂いこうなー。抱っこする?」
『もうおれ大きいからできないだろ』
おれもようやくちゃんと自分で動けるようになったからちゃんと自分で立ち上がる
「出来るよ。きっと。俺体鍛えてるし」
『おれのため?』
「あぁ。そうだよ」
そうだと思ってたけど
聞いて肯定してくれたのが少し嬉しくなって余計涙が出た
「なんで泣くんだよ、おもらし悲しかった?」
『…うん、』
『ごめん、朝おむつ履かなかったのに』
シャワー行こ、と匡平は手を引いてくれる
「いいよ、俺帰ってきた所だし」
『…うん、ありがとう、』
「あぁ」
シャワーで流してもらって
ボディーソープで洗ってくれるから
おしっこのにおいが無くなっていい匂いがするのにまだ涙が止まらなくて
匡平に心配かけないように涙を止めようと拭うけど後から後から溢れてくる涙にイライラして余計に涙が止まらなくなる
おれ、本当に最悪だ
おもらしして、ずっと泣いてたら匡平に心配かけちゃうし
泣いたままだとご飯も食べに行けない
「よし、キレイになった」
と、匡平が新しいタオルで拭いてくれる
「ほら、新しいパンツ履こうな」
と、新しいパンツを出してくれるけど
また失敗したらどうしようと思うとそれを履くのに躊躇してしまう
「…パンツいやか?」
と聞かれて、不安になってうん、と頷いた
『…おむつ、』
「嫌だろ、無理に履かなくてもいいぞ」
『いい、もう今日はおむつがいい』
「そっか、じゃあおむつしとくか」
と、棚の上からおむつ、を出してて足元で広げてくれるから片足ずつ通すと上まで上げてくれる
「やっぱり今日は寿司やめるか」
『なんで、』
「祈織の涙止まんねえし」
『ごめん、すぐ泣き止むから』
「ちげえから、辛いのに無理して行かなくていいってこと。家でゆっくりしよ。Uber頼むし」
『…うん、そうする、』
と、匡平が言ってくれて少し安心した
本当は匡平と出かけたかった、
でも今日はもうこのまま何も考えずに匡平と一緒にいたかった
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