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第5話
大輝の頬に伝う涙をそっと触れて拭うと大輝はゆっくりと目を閉じて深く深呼吸をして今度はゆっくりと目を開けた。
いつもの落ち着いた大輝に戻っている。
もう少し弱い大輝を見ていたかった気もするが始めて見る大輝の涙に俺はかなり動揺していた。
それがもしかしたら大輝にも伝わってしまったのかもしれない。
「海君、ビックリさせてごめんね。せっかくのクリスマスなのにもう泣かないからね。」
「泣きたい時に泣けよ。俺が受け止める。」
「海君・・・うん。」
大輝は俺の首に抱きつくと額を俺の肩にコツンと当て小さな声で何かを言った。
聞き取れないから聞こうとした時に大輝は俺の唇に触れるだけのキスをした。
「えへっ、お腹空いちゃったからご飯食べようよ。」
ニッコリと笑い少しだけ照れて顔が赤くなり恥ずかしさが込み上げてきたのか慌てて俺から離れようとする。
「大輝。」
俺は離れようとする大輝を呼び止め腕を掴み俺の腕の中に抱き寄せた。
「海君?」
「これから先も俺と一緒にクリスマス過ごしてくれるか?」
「海君・・・こちらこそお願いします。」
クリスマスなんか最悪だと思っていたけれど大輝と過ごすクリスマスは嫌な思い出を忘れさせてくれる。
高価な贈り物よりも俺は大輝と過ごすクリスマスが何よりの贈り物。
俺を好きになってくれてありがとう大輝。
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