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第13話
あれから4日が経った。今週も水曜日の夜がやって来た。
今夜も7時過ぎにリョウからメッセージが入る。『1時間後にいつものホテルで』――いつもと何も変わらない文面に、いつもと同じ猫の絵文字がついていた。新宿三丁目駅近くの居酒屋でひとりで呑んでいた圭一郎も、普段どおり『了解』とだけ返信し、ビールを呷った。
あまり酔い過ぎてはいけないので、後1杯だけにしよう。それから、つくねをタレで2本。歯磨きは会計後に店の洗面所で。そんなことを考えながら、横を通り過ぎようとした店員にそれだけの注文をした。そして、賑やかな雰囲気と店員の威勢の良い声に包まれる店内で、静かに時が過ぎるのを待った。
「――……前の土曜、あそこで何してたの?」
アルコールと性的な熱による陶酔に耽っていた圭一郎は、やんわりと閉ざしていたまぶたをあげた。見上げた先に、ゴテゴテとしたデザインの天井を遮るように身をくねらせている裸のリョウがいた。
圭一郎が指定された部屋に入った時には、リョウはガウン姿で玩具を用いたひとり遊びに興じており、昂ぶった彼にベッドに押し倒され、スーツを乱された。
抵抗はしなかった。圭一郎はおとなしく、相手の好きにさせた。やがてリョウは圭一郎の一物を後ろで咥えると、何度となく極まった表情と声を露わにしながら、淫らに腰を揺らした。
仄暗いオレンジ色の明かりのもと、彼のきめ細やかな素肌にはじんわりと汗が浮かんでおり、さらには桜色に上気しているのが分かる。薄い胸板についた尖りは、圭一郎が触らずともピンと立ちあがっており、上向きに反った性器は彼がゆさゆさと動く度に重々しく揺れ、鈴口から汁を飛び散らせていた。
ふと、思い出したかのように訊ねられ、圭一郎はしばらくぼうっとしていたが、やがて「あぁ……」と声を漏らした。あの時のことか、と。
「……弟夫婦の出産祝いを買いに行ってた」
「へぇ」
リョウは恍惚と顔を歪めながらも微笑んだ。「弟さんは、ノンケなんだ……?」
「あぁ。俺としては気楽だな」
「遊び惚けられるじゃん、いいね」
「お前は……あの老人は、誰だ?」
「んー、俺の生活を支えてくれる人……支えてくれるお礼に、色々お相手したり?」
そう言ってくすりと艶やかに笑うと、リョウはよりスムースに腰を動かし、腸壁を締めつけてきた。その刺激に、圭一郎は思わず眉と口を歪め、吐息混じりの声をまろび出した。……あぁ、追い込まれていく。頭は白く霞んでゆく。
「……んっ……ぁ、……ねぇ、イキたい……ッ?」
甘ったるい声に、反射的にうなずいた。リョウがふふっと蠱惑的に笑う。そしてさらに大胆に腰を、直腸を蠢かせた。
「……ッ……、で、る……!」
あまりの気持ちよさに、圭一郎の身体は強ばった。まぶたをきつく閉じ、シーツを握りしめる。尿道が痙攣し、リョウの腹のなかに精液を放つ。まぶたの裏は真っ白だった。
「あっ、ぁ……すご……いっぱい、熱い……」
待ち望んでいたものを与えられ、リョウの声は至極うっとりとしていた。女すらも惑わしかねないその嬌声に、圭一郎のペニスは素直に反応し、一滴残らず体液を吐ききった。
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