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第14話

いつしか汗みずくになっていた身体から徐々に力が抜けていき、圭一郎はぐったりとする。呼吸は荒れに荒れ、全身が火照って仕方がなかった。 そんな中で、リョウはいまだに上半身をやや反らせながら、圭一郎の下腹部にぬるぬると生殖器を擦りつけ、啜り泣くように喘いでいた。 「……あっ、ぁ……宮田さ……、おれの……触って……!」 言われるがままに、芯を保っているリョウのそれを4、5回ほど扱けば、彼は存分にはしたない声をあげて、絶頂に達した。細身の肉体が快楽に震え、整った顔もそれ一色に染めながら、圭一郎の胸元にまでザーメンを飛ばしてくる。すでに鼻腔に漂っていた青臭さが濃くなったのを感じた。 やがて、リョウの身体からも力が抜け、まるで体重を感じさせないふわりとした動作で圭一郎の方へと倒れてきた。けれどもいざ彼を受けとめると、相応の重みが身体に乗ってくる。皮膚が溶けだしそうなほどの体温を感じる。 「……はー、きもちよかった」 自らが出したもので顔が汚れても構わず、リョウは圭一郎の胸板に頬を擦りよせ、満足げにふにゃりと笑っていた。そんな彼の様子を、呼吸を整えながらぼうっと見つめながら、圭一郎はぼんやりと思う。 ――……コイツは、本気で誰かを好きになったことがあるのだろうか。 苦しいほどに誰かを愛したことがあるのだろうか。 ……明確な根拠はないが、きっとないだろうと思った。むしろ、あってたまるかと反論したくなった。そんな経験があれば、こんなにだらしなく、節操なく生きているわけがないのだ。 この青年について、知っていることはごくわずかだと言うのに、そうだと決めつけるのは可笑しい。分かっている。分かってはいるが、胸のうちに燻った苛立ちが、圭一郎から冷静さを失わせていた。 ……リョウに対する老婆心はなかった。ただ、自らの心中に煙のごとく広がるどす黒い感情を彼にぶつけ、解毒したかった。 圭一郎は黙考した。黙考した末に、まずはそれとなく水を向けることにした。

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