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第2話
車の中にまた男が1人座っており、そいつに口にガムテープを貼られた。
「ングっ!んっ!んー!」
何処に連れていかれるか分からない恐怖の中必死に抵抗を続ける。
でも高校生の俺が3人の大人の力に叶うわけが無い。
抵抗も虚しく腕を後ろで縛られてしまった。
もうこうなったらどうすることも出来ない。
ささやかな抵抗として黒スーツの男たちを睨み続ける。
「兄ちゃんにいい事教えてやるよ。その後連れていかれる所では睨むなよ。」
はぁ?こっちは知らない男に拉致られてんだぞ
睨むなって方が無理だろ
思った事が顔に出ていたらしい今度は2人目の男に話しかけられる
「そう睨むなって、もう俺らは手出さねーよ。だが、この後では1つの行動が命取りだからな。大人しくしとけ」
「そうそう、俺らもいつ死ぬか分かんねーしな」
初めの男と2人目の男が話し始める。
ガムテープを貼ったやつは一言も発さない。
それに、この後この後ってどこ行くんだよ!
黒スーツで命取りとか、ヤーさん??
初めは身を捩って抵抗していたが、本当に男達はもう俺に手を出すつもりはないらしい。
だからと行ってこの車の中から抜け出せる訳でもない。
俺は呑気に男達の観察をはじめた。
忠告してくれた(?)男は右眉に傷があり、身体もでかい。
2人目の男は頭をツンツンと立たせ人懐こそうな雰囲気だ。
ガムテープの男は足を組み一言も発さないままだ。見た目はメガネでデキる男感あるぞ。
そうこうしてるうちに車が止まった。
窓はスモークがかっていて何処に着いたか確認出来ない。
ツンツン頭がドアを開け、眉毛に傷がある男に俺は連れ出される。
メガネの男は後ろから着いて来るだけだ。
そして連れてこられたのは大きな和風の御屋敷だった。
あっ、これ全然ヤーさんじゃ?
もう俺死んだ?
そのまま眉毛男に引っ張られるようにして中まで連れていかれる。
長い廊下を歩いた先にある離れの部屋の前で男達は止まった。
メガネの男がノックする。
「若、連れてきました。入ります。」
そう言い襖を開ける。
え、若?若ってあれだよね、偉い人だよね、
メガネが中に入ってしまった。眉毛とツンツンに挟まれるようにして引っ張られる。
俺は縛られてない足で入るのを拒む。
「急がねーと俺らもやばいんだって、担ぐぞ。」
そう言い俺は眉毛に担がれ、とうとう中に入ってしまった。
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