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第13話
「無理矢理でもいーの、もう俺の」
「理不尽すぎだろ」
「まぁ、帰りたいなら帰っていーよ」
「まじ!帰る!」
まさかこんなに早く返してくれるとは!
気が変わる前に帰ろ。
「でもね、この部屋から出たらこればら撒くね」
歩き始めた俺の後ろから悪魔の声が聞こえた。
ばら撒く…?何を?
振り向くとベッドに座っている若のスマホから男の喘ぎ声が聞こえた。
「はぁ!なっ、何それ!」
「昨日ね、実はシャツの胸ポケットにカメラ機能を付けたまま入れてたの」
顔までよーく撮れてるよ?と見せてくる。
誰と誰の行為中かなんて考えなくても分かる。
俺があいつにヤられた時しかない。
「どう?これバラ撒かれてもいーなら帰りなよ」
「そっ、そんなの…」
「帰れないよね?じゃー、おいで」
若が手を広げている。
あそこに行けと?手の中に?
行くもんか!
「来ないのか、じゃ、URLを…」
「待て待て!いっ行くから!」
URLをどこに送る気だ!
俺はしぶしぶベッドに座る若の腕の中に収まった。
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