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第23話
セイside
あいつの家はいわゆる高級住宅街らしくて、周りもマンションや大きな一軒屋しかなかった。
俺の家付近ではないことは確かだ。
この高級住宅街を抜けないと駅なんて無さそうだ。
スマホの電源をつけてみたが黒い液晶に色が着くことはなかった。
まぁ、昨日の朝から充電してないんじゃ当たり前か。
早く駅に行って場所を確認したい。
それにあいつが帰ってくる前に離れないと。
また捕まる焦りから俺は駆け出していた。
だが、来たこともない場所で地図なしではがむしゃらに走るしかない。
しばらく走って、やっと民家が見えてきた。
高級住宅街を抜けたらしい。
バス停を見つけた。
でも見た事のない名前のバス停だった。
俺はある程度の地形は理解しているつもりだ。
それでも見た事ないって事は隣町かそれ以上離れてるかだ。
それだけ離れてれば電車代が足りないかもしれない。
どれだけ離れていても俺は帰るんだ!
そう思い、知らない道を駆け出した。
しばらく走ってると、視線を感じた。
もう見つかったのかと後ろを振り返ったが誰もいない。
気のせいか?
でもあいつなら見つけた瞬間捕まえに来ると思う。
でも今来ないなら気のせいだ。
ちょっと立ち止まって後ろを睨みつけるが出てくる気配はない。
気のせいだと思ってまた駆け出した。
「今のバレたかな…」
建物の影で黒スーツが呟く。
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