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第25話

押し返されるまま後ろに下がると、今度は匡が後ろから捕まえてくる。 羽交い締めに似たようなバックハグで。 しかも驚くことに、身動きが取れない。 せっかく逃げ出したのにまた捕まってしまった。 俺はそう思うと気が沈んだ。 身動きが取れないまま、黒塗りの車に乗せられる。 「やっ!」 反抗するが全く効果はない。 あっさり乗せられ、眉毛とツンツン頭は前の席へ、匡が俺の隣とガッチリ固められ、どうすることも出来ない。 しかもさっきまでヘラヘラしてた匡は車に入るなり無言になった。 怒っているオーラがすごい。 車から出れないし、怒りのオーラに負けて俺は小さく縮こまるしかなかった。 しばらくしてまた匡のマンションに戻ってきた。 「わっ」 匡は俺を姫抱っこして車から降りる。 「離せっ!自分で歩ける!」 もがくが離してくれる気配はない。 俺ら2人が車から降りると残りの2人は車ごと去って行った。 匡は俺を抱えたままエレベーターに乗る。 押したボタンをみると、*と階を押していた。 …??逃げる時思ったけどなんだこれ…? 「なぁ、なんで記号のボタンあんの?」 俺は抵抗を辞め、質問した。 「防犯対策。エレベーター使う時に決まった記号を押さないとその階の契約者にメールが行くシステムだよ。」 逃げたのバレバレってこと…? 「じゃっ、じゃあ!なんで俺の位置分かったの…?」 「セイに付けてるネックレス、GPS入りだから。」 はっ!GPS!? 監視されてたってこと? どれだけ逃げても無駄だってこと?

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