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第54話

「もういいだろ、あんま見んな!」 「可愛い、茶色の熊もあるよ!」 「いらね!」 茶色のクマって!? もしかしてうさぎの次はクマ!? 先が思いやられる… 「うさちゃーん、こっち来て〜」 ソファで匡が呼んでいる。 行くかどうか迷ったけど怒らせると怖いから素直にソファへ向かう。 行ってみると匡は手にドライヤーを持ち、足元に座るよう言われる。 あー、乾かしてくれるのか…? 大人しく匡の足元に座る。 「いい子だね、」 そう言って俺の頭を乾かし始めた。 俺は手持ち無沙汰でやることがない。 しばらくブォォォォというドライヤーの音を聞く。 …やっば、寝みぃ 俺は乾かされながらウトウトしてきた。 なんかさ、人に髪触られると眠くなんない? 俺美容院でも寝れるもん。 触られるだけでも眠いのに更にドライヤーの暖かい風まで吹いている。 これは寝れるぞ。 「ふぁ〜、」 欠伸が出た。 あー、無理、寝る。 てか俺匡に拉致られてから4日目だっけ? 毎日半分以上爆睡してる気がすんな… 拉致られた家で爆睡できる俺やばくね…? 色々手出されてるけど、暴力とかじゃないし、なんか心地よく過ごせてる。 よく分かんないけど匡の事は嫌いになれない。 以前のバイト学校バイトの日々が辛すぎたのか…? 感覚が麻痺してる気がする…

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