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第88話

あんなに牽制されて、更にここに居たくなかった。 匡も匡で何も言わずに戻っちゃうし… ここにいたくないな… 俺は出る準備をする。 俺の手荷物は匡に何かあった時にと渡されたお金と真新しいスマホしかない。 俺はちょっと考えてスマホのメモ機能を開いた。 "ごめん、ありがとう。さよなら" その一文を打ってメモを保存する。 そして、メモ画面を開いたままスマホの電源を切る。 買ってもらったばっかだけど匡から離れる俺が持ってる理由がない。 食べたチョコレートパフェの容器の横にスマホを置く。 これで匡が見つけるだろう。 この机の伝票は匡が持っている。 だから見つけなくても店員さんが会計をする時に伝えるだろう。 だから大丈夫。 俺はカバンに匡から貰ったお金だけを入れて席を立つ。 最高に匡を見たけど相変わらず2人で笑ってる。 俺が居ない事に気づくのはいつかな…? もしかしたら数時間後? 心配するかな…? それともあー、居ないわ、まぁいーやって感じかな? 後者だとちょっと悲しいな… そのままそろっとファミレスを後にした。 これで良かったんだ。 とりあえず離れよう。 なんか歩きたい気分だったから電車には乗らずに行く先も決めずに歩き出した。

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