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第90話
あの後、一人暮らしの光輝の家に連れてって貰って、ご飯やお風呂などやることを終えた。
たわいない話をして一段落着いた所で光輝から鋭い質問が。
「で、お前は1ヶ月連絡もしないで何処にいた訳?」
「やっぱ、言わないとダメ?」
「追い出すぞ」
「分かったよ…」
短くざっと今までの経緯を話した。
拉致られたこと。軟禁状態だったこと。アパート、バイトを勝手に解約、退職されたこと。今日はショッピングに連れてって貰ったこと。許嫁に怖気付いて逃げ出したこと。
ヤられたことやキスなど性的な事は避けて話した。
「まじかよ…大変だったな」
「うん…」
「でも逃げ出して良かったのか?ヤクザで社長なんだろ?また捕まりそうだけど…」
「言わないでよ!俺だって考えたけど許嫁がいるならもう来ないでしょ…」
なんか言ってて悲しくなった…
凛花さんだっけ?綺麗な人だったな。
今頃匡とイチャコラしてんだろーな…
なんだか胸がモヤモヤした気持ちになる。
「それでさ、どーすんの?」
「どーするって何が?」
「変態ヤクザ、訴える?」
「え!?いや、いーよ!」
「また来るかもしんねーじゃん」
「でも…」
俺の中では訴える選択肢なんかなかった。
「訴える事出来るんだぞ?立派な犯罪だ。」
「でも…」
今思ったけど、俺は割と軟禁生活を楽しんでいた。
許嫁が出てくる前は心地よく感じてたし、逃げる気なんかなくなってた。
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