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第91話
あれ、俺…?
でもでも…
俺の中でちょっとした思いが出てきた。
「あのさ…」
「何?」
「俺ね、匡と過ごしてて嫌じゃなかったんだ。」
そりゃ初めは嫌だったよ?初対面でヤられてそのまま軟禁。
ヤクザで怖かったし、でもちゃんと俺として見てくれた。
光輝は男と男の性事情を気にするタイプではなかったから、思い切って自分の気持ちを話した。
話終えても光輝は黙っている。
…流石に引いたかな…?
沈黙が怖い。
「それってさ、好きなんじゃね?」
「え?」
しばらくしてからの光輝の言葉。
それはすとんと俺の胸に響いた。
俺だってそう思ったことはあった。
けど、男同士だし、俺が光輝以外の人でこんなに関わった事がなかったから勘違いだと思って避けてきた。
「そう…なのかな…?俺、今まで人を好きになったことない、」
「俺からしたら変態ヤクザのこと話してる聖也の顔、完全に恋してるよ」
「えっ、どんな顔?」
「なんか目キラキラしてる」
そっか、光輝から見ても分かるくらいに好きなんだ。
だから心地よく感じてたし、嫌じゃ無くなったんだ。
俺はここでやっと自分の気持ちを理解した。
好き…
俺は愛情なんて分からない。でもこんな気持ちなんだな…
胸にあったモヤモヤが晴れていく気がした。
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