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第94話
「泥棒…?」
「泥棒なら鍵開けねーだろ」
あっ、そうか…
「管理人さん?」
「いや、ここの管理人来る前は必ず電話くれる」
…じゃあ、誰…?
怖くなって光輝に抱きつく。
至近距離が更に近くなった。
「聞き違えたんじゃねーの?」
「いや!聞こえたもん!」
あれは確かに鍵を開ける音だった。
2人でドアの向こうを見つめる。
2人とも息を殺してじっとしている。
その時ドアの向こう側でガサッと何かが動いた気がした。
「ね、ねぇ!やっぱり泥棒だよ!」
「今動いたよな?」
「う、うん!」
ゴクッと唾をのむ。
俺は光輝の首辺りに抱きつき、光輝は俺の腰に手を回して固まる。
静かにドアを見つめてると…
ガチャっと俺達がいる部屋のドアが開けられた
「ぎゃあああ!」
「うわぁぁぁ!…ちょっ!聖也!」
開けられた事に驚いて2人して悲鳴をあげる。
驚き過ぎて俺はまた光輝を押し倒してしまった。
「何してんだ?」
「「ひぃっ!」」
ドアの方からひっくい声が聞こえた。
…あれ?この声…
ゆっくり目を開けて声のした方を見るとそこには怒っている匡の姿があった。
「うぇっ、き、匡…」
「は?変態ヤクザ?」
「あ"?」
「ちょっと光輝!」
低かった声が更に低くなってちょっと怖い…
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