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第95話

「え、なんでいんの…?」 完璧見捨てられたと思ったのに。 「セイこそ何逃げてんの?」 「そっ、れは…」 いたたまれなくなって目をそらす。 「俺からは逃げた癖に他の男の家でそんなに密着して?挙げ句押し倒して?帰ったら覚えとけよ」 「ひぃっ!」 低い声にビクッとして隣にいる光輝に抱きつく。 これが逆効果だとか考えてる暇はなかった。 「とりあえず、こっち来い、帰るよ」 「うわぁっ!」 グイッと手を引っ張られて立たされる。 そのまま肩に担がれてしまった。 「ちょっと!下ろしてよ!」 「下ろすわけないでしょ、立場分かってる?」 じたばたもがくが匡の抱える力の方が強かった。 「おい、変態ヤクザ!警察呼ぶぞ!」 「何、死にたい?」 光輝が立ち上がってくれたけど匡の返しに怖気付いたのかそれ以降何も言わない ちょっと光輝!もっと言ってよ! 目線で光輝に訴えるけど首を横に振られた。 (こいつめっちゃ怖い!むり!) (俺連れ去られるんですけど!!) (あー、……がんばっ!) (光輝ぃぃぃぃ!) 目線での会話でさえも光輝に見捨てられたと言うか後押しされた。 担がれたまま匡の車に投げ入れられて光輝の家を後にした。 ちなみに運転は緋山さん。匡は横で怒ってますオーラ全開。 緋山さんは緋山さんで冷たい怒り方をしていて怖い。

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