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第99話

匡に家に連れ帰られて怒鳴られるかと思いきや、ベッドの上に投げられた。 「うわっ!?」 「待ってろ」 そう言い残して出ていってしまった。 あーあ、戻ってきちゃったな… 俺の中では結構大きな決意だったんだけどなぁ てゆーか、なんで俺ここにいる訳? 匡には凛花さんがいるじゃん! 俺要らなくね? 凛花さんに愛想つかされた時用? それとも玩具だとでも思ってんの? いや、違うな、ペットくらいにしか思ってないだろ… 「はい、」 「あ、ありがとう…」 匡が帰ってきてホットココアを渡してくれた。 匡は匡でコーヒー片手にベッドサイドに腰をかけている。 緋山さんに言われたからか、話す体制だ。 「それで?なんで逃げ出した?」 「なんでって…俺必要ないから」 「俺には必要だけど?」 ペットとして、でしょ? 心の中で返事する。こんな事口に出したくない。 「まずさ、どこから必要ないなんて思ったの?」 「…」 言いたくなくてココアをじっと見つめる。 「怒んないから言え」 「だって…凛花さんがいるじゃん…」 言ってしまった。 これを言うと、匡だって俺の必要性がないことに気づくでしょ… 「凛花?」 「ファミレスで楽しそうに話してた…」 「あー、そりゃ許嫁だからな…」 分かってたけど匡の口から直接許嫁って言われるとやっぱりツラい。

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