123 / 268

第123話

「かわい子ちゃんは柊誠也だったか?」 「あっ、は、はい!」 急な組長さんの問いかけにどもってしまう。 「ちょっと匡は外せ」 「やだ」 「外せ」 「チッ」 組長さんに外せって言われてしぶしぶ舌打ちを残して出ていった。 あぁ〜、匡がいなくなっちゃった… 俺めっちゃ気まづい… 部屋には組長さんと2人きり。 組長さんは俺の事ガン見してくる… ちょっと怖いんですけどぉ… 「かわい子ちゃん」 「なっ、何でしょう…?」 その呼び方は何とかならないのか… 「セイくんって呼んでいいかの?」 「はい!」 「可愛いのぉ」 こっちこっちと手招きされる。 首を傾げながら近づく。 向かい合うとくしゃくしゃと頭を撫でられた。 「あの…?」 「娘が出来たのぉ」 「俺男ですよ?」 「でも息子の恋人じゃ」 にししと笑いながら撫でる手を休めない。 「あとな、敬語はいらんぞ」 「えっ?でも…」 「いらん」 「分かりまし…あっ、分かった。」 どうやら嫌われるどころか匡に言われた通り好かれたらしい。 ちょっと不思議な気分だけど嬉しい…かも? それから匡との馴れ初めや何処に出かけたかとか話をして結構仲良くなれた。 途中で痺れを切らした匡が部屋に乗り込んで来たが組長さんに返り討ちにされて、今は事務室で仕事をさせられてるみたい。

ともだちにシェアしよう!