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第151話

「さっきの聞いてた!?ユズがね〜!」 車の中でもユズの話題。 だってさ!ユズいつも声出さないんだよ! それをさ!また明日って!可愛いかよ! 心の声と同じような事を匡に話す。 「セイ、いつまで話してんの?」 「だってぇ!可愛いかったんだよ!」 「俺より?」 「当たり前でしょ!」 匡とユズを比べるのは違う気もするけど可愛さで言ったら断然ユズ。 匡はどっちかって言うとかっこいい方でしょ。 「ふーん…」 「何?」 「別にぃ〜」 なんか匡の機嫌が悪い? 心做しか声もワントーン下がったように聞こえる。 「…拗ねた?」 「別にぃ〜」 「だって匡とユズだったらユズの方が可愛いもん」 「あーあーあー、そんな事言うんだ」 「事実じゃん」 匡はそのまま黙ってしまった。 沈黙のまま車を走らせ、マンションに帰ってきた。 「ただいま〜」 誰も居ないけど口にする。 これは一人暮らししてた時からの癖だ。 匡はだんまりのままソファに座ってる。 俺は部屋に鞄を起き、次に風呂に向かう。 先に入ってしまおう。 明日の学校は何の教科があるっけ? 課題あったかな〜、いや、なかったな。 そんな事を考えていたら長風呂になってしまった。 「匡〜?入っていいよ〜」 ソファにいると思って声をかけたが、そこに匡の姿はなかった。

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