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第179話
二つ返事で行くことを決め、また手を引かれて歩き出す。
こははいつも人を引きたがる。
多分癖なんだろうな…
そのままこはの家まで連れて行ってもらった。
「お邪魔します…」
「ただいまぁー、私の部屋行ってて。飲み物とか持ってくから」
「はぁーい」
こはのお母さんは居ないようで静かだった。
もう何度も来たことのある家。
俺は迷う事無くこはの部屋に向かった。
前はこの家の向かい側の賃貸に住んでいた。
両親が引越しをする時に俺だけ違うアパートに一人暮らしをする事となった。
まぁ、あの両親から離れれたのは有難かったけど…
「お待ちぃ〜」
「サンキュ」
しばらくしてこはがお盆にジュースやらお菓子やらを乗せて持ってきた。
「はい、これレシピ本」
「ありがと」
脇にも抱えてたらしい。
その本を受け取り、ペラペラとページをめくる。
ほぉほぉ…ポイントやコツなどが書かれている。
それは役立ちそうだ。
「これちょっと借りてもいい?」
「いるならあげるよ。私は料理しないし、お母さんはレシピ本なくても出来るしねw」
「まじ?じゃ遠慮なく」
くれると言うので有難く貰う事にする。
久しぶりと言うこともあってか、2人の会話が弾む。
気づくと夕方だった。
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