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第194話

いくらここが防音されてたとしても、上の階の人の気配は分かる。 声こそ聞こえないが足音は聞こえ、何人もの人が慌ただしく行き来している。 見張りも何があったのか分からないらしく、扉の向こうへ登って行った。 「こは、今がチャンスだよ!」 「え?だって鎖は?」 「何とかなるって!」 とりあえず、壁に強い力で打ち付けて見た。 足枷から自分の足に衝撃が伝わり、ジーンと痛みが来た。 鎖を見るけど… 「ダメかぁ〜」 「そんなやわじゃないでしょ」 「そーだけどさぁ…」 やっぱり諦め切れない。 上でのゴタゴタが匡の助けだとしたら待っててもいいかもしれない。 けど匡だとは限らない。 敵チームの人達が仲間割れで暴れてるって事もある。 それならちょっとでも見張りが居ない隙に逃げれるようになっておきたいじゃん? 俺は諦め切れず、鎖をガンガン打ち付ける。 「帰って来たよ!」 「まじ!?」 打ち付けた時の音で聞こえなかったらしい。 こはが知らせてくれて良かった。 上から降りてきたのは下っ端2人。 「上、何かあったの?」 「お前らに話す事じゃねぇよ」 「いいだろ、教えてくれたって」 「黙った黙った。場所移動するぞ」 「え?」 下っ端1人に聞いてみたけどそう簡単に答えてはくれない。 しかも場所移動するって…

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