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第216話

「え…ごめん、もう1回言って…」 「情報流し込んだ人、柊達也だよ」 「…」 匡からその名前が出た途端、俺の頭は何も考えられなくなった。 俺に関係ある人で嫌な予感がしたのはこのせいか… 柊達也(ひいらぎたつや)は正真正銘、俺の父親。 だけど何で?俺あいつに匡との事話してないし、家も出てる。 どこで知られたんだ…? 「セイ、大丈夫?」 「…うん、ちょっと考えてて…」 「無理しないでね」 全部分かってるような口調で俺の背中を撫でる。 まさか… 「調べた…?俺とあいつの事」 「うん、てゆーかセイ拉致った時に」 「そっか…そっかぁー」 匡は知ってるのか… 「ちょっと一人になるね、部屋行く」 「分かった。考え過ぎないようにね」 「ありがとう」 頭の中を整理したくて自分の部屋に戻る。 いつも寝てる部屋とは違う、ほとんど荷物置き場みたいな部屋。 ベッドに寝っ転がる。 あいつとはほとんどいい思い出がない。 そりゃ小さい頃は仲良かったよ? だけどいつからだろうか… あいつは変な奴らと絡み始めた。 元々パチンコが好きだったからそこから知り合ったんだろう。 そいつらと一緒になってザラザラとお金を使って行った。 いつからかあいつは仕事を辞めていて… 母さんも働いていたけどそれじゃ足りるわけがない。

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