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第258話

「匡〜、お先でしたぁ〜!…あっ…」 るんるんで上がってお風呂場から帰ると部屋の隅で匡が誰かと電話していた。 結構大きい声だったけど聞こえちゃったかな…、 今更遅いが手を口元に持ってきて黙る。 怪訝そうに匡を見つめていると、目があった。 電話も続いてるし、雰囲気からも大丈夫そう。 口パクでごめんと言ってくれている。 俺は静かに匡の電話が終わるのを待った。 あれ、俺外出てた方がいいのか? 1回風呂場に戻る…? でも今出ていくのもあからさますぎ? えーどうしよ 「セイ、ごめん。もう大丈夫だよ」 「あれ、もう終わったの?俺の声入っちゃった?」 「聞こえてただろうけど大丈夫だよ」 「そーなの?でもごめんね」 「いーよ。俺も風呂入って来るわ」 「うん」 手持ち無沙汰になってスマホでゲームをして匡がお風呂から出るのを待った。 プルルルっと俺のじゃない着信音が部屋に響く。 テーブルの上にある匡の携帯が震えていた。 あ、さっきの人かな…? 俺は携帯片手に風呂場に向かう。 「匡〜、ちゃくしーん!出れる?」 「着拒しといて」 「え、いいの?」 「いいよいいよ」 とりあえず拒否したけどいいのか? うわっ、またかかってきた。 放置でいいか… 匡出る気無さそうだし。

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