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第259話

その後も1分置きくらいにかかってくるそれ。 まだ匡がお風呂に行ってから10分も経ってないのに凄い頻度で音が鳴る。 かかってくる度に既に慣れた手つきで拒否ボタンを押す。 普通こんなに頻繁にかけるか? もしかして急用なんじゃ…? え、1回くらい出た方がいい? でも匡の携帯だし、本人が出なくていいって言うなら拒否でいいのか? うーん… 悩んでいると、またかかってきた。 「あっ、やばっ…」 迷いが出たのか拒否ボタンではなく、応答ボタンを押してしまった。 すぐに切ろうと思って携帯に手を伸ばした所で止まる。 「きょーちゃん?やっと出てくれたぁ!」 電話越しに聞こえる声は女の人。 親しげにちゃん付けで呼んでいる。 俺が知り合った人の中に匡をちゃん付けする人はいなかった。 この人だけ特別視してる? 女の人は匡が聞いているものとし、ベラベラ話している。 「きょーちゃん聞いてる?明日さぁ〜」 俺はこれ以上聞きたくなくてそのまま何も言わずに切った。 今明日って言った? 明日は俺と大阪観光だよ? わざわざ大阪まで旅行しに来てるんだもん。 でもちょっと大阪弁っぽかったな… 訛ってる感じあったけど、もしかして大阪の人…? 考えれば考える程分からなくなって、俺は布団に潜りこんだ。

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