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第266話
「いや、やっぱり悪いんで…」
「ええから、ええから」
どうしても申し訳なく思ってしまう…
しょんぼり項垂れていると、男の人はそれなら…と言葉を続けた。
「俺1人で寂しいねん。ちょっと付おうてや」
「え?いいです…けど…」
俺がスーツ汚した手前断るに断れず、頷くと、肩に手を回してきた。
近い…?
「さっき、近くにかき氷屋さん見つけたん。一緒に行こぉや」
俺の返事は聞かず、スタスタ歩き出してしまう。
手を回されている為、俺も進むしかない。
そのまま何も言わず着いていくと、露店から少し外れた所にこじんまりとしたお店があった。
「ここやねん、美味そうやろ?おばちゃーん、2人!」
「はいよー、空いてる所どーぞー!」
男はさっさと入って行き、気がづけば席に座って居た。
「えぇ〜…」
「早う!何食べる?」
唖然として眺めていたが急かされて仕方なく前の席に腰を下ろす。
ここ奢れって事…?
「俺抹茶にするわ、兄ちゃんは?」
「えっ、えーと…いちごで」
「おばちゃーん、抹茶といちごぉ!」
なんと行動が早い…
かき氷屋が出てくるまで話す事もないし…と男の人の観察を始めた。
歳は匡と同じかそれ以上くらい、スーツ来てるけどサラリーマンよりはホストっぽい、関西弁…
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