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第92話 黒木と皐月と蒼
「皐月、言って……黒木君とは付き合ってるの?」
低く甘い声は不安そうに耳元で囁いた。
自分の部屋より遥かに広い部屋に引き寄せられ、ベッドに押し倒された。
ゆっくりと引き寄せられ、唇が重なる度に感じ火照るように躰が熱くなった。
「……あ……」
「ずるいよ、すごいショックだった。……皐月、話して……」
話そうとすると、口を塞がれて唾液を吸われ貪るようにキスを重ねる。
口元から唾液が伝いだして、舌を絡ませるのに必死だった。
「……んッ……ぁ……」
蒼にシャツの上から胸の突起を撫でられ、甘く嬌声が漏れ出して手で隠そうとすると抑えられた。鍛えられた胸板がシャツから透けるように分かり、胸が高鳴った。
これから起こる事を想像するだけで、期待する自分がいた。
太腿の奥のものはすでに熱を持ち始め、硬くなっている。
「皐月……」
首筋を優しく噛んで、吸われると甘い悦楽が全身を走り全身が震えそうだった。
ジュクジュクとした卑猥な音が漏れて、蒼の太い頸に腕を絡ませ唇を押し付けた。
「あお……い……んッ……」
「……急に黒木が出てくるのは、流石に…いや、予想外で頭がショートしそうなんだ」
そう言って何度も唇を押し当てられて、また舌を絡ませて吸った。
それは優しく、そして貪るように激しかった。
息ができないほど何度も唇を重ねては、蒼は覆い被さるように体重を乗せると全身を優しく撫でた。
「……ん、蒼、苦しい」
「ごめん、悔しくて……。ねえ、皐月、黒木君とは本当に付き合ってるの?」
そう聞くと蒼の強い力で抱き締められ、圧死しそうになった。
頬にもキスされ、先程までのシリアスな雰囲気が消えて、蒼の必死な表情のせいでまた少し笑いそうになった。
「……大袈裟だよ」
「君は分かってない、僕は君に沢山酷い事したんだ。離れたら忘れると思ったけど、離れるほど会いたくて死にそうだった。それを全部、あの黒木君に持っていかれるのは、どうしても僕は嫌なんだ。」
「……黒木君が可哀想だよ。ただ黒木君を蒼に重ねて見てただけで、ちょっと蒼に仕返ししたかっただけだよ」
急に饒舌に話す蒼に驚いて、頬にキスをした。
ぎゅっと抱き締められ、蒼は首筋に顔を埋めた。
熱い吐息が甘く感じ、蒼の分厚い雄々しい躰を抱き締めた。
「皐月……っ……」
「ん、好きだよ」
蒼の耳元で囁くと、気のせいか耳が赤くなってるような気がした。
「黒木君だけは嫌だ」
「……はは、そんな、まだ言ってる」
笑いながら、もう一度お互いに顔を見合わせると唇を合わせて、そのまま深く口づけをした。
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