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第一章 再会 二

 貢の体はそんなに大きくなく短い黒い髪がつやつやしていて、少々儚げな顔をしていた。  そして不思議な色気があった。中性的であり、体も細く下手したら妻より色白だ。  何故この子は女性に生まれてこなかったのだろうかと思うほどだ。  貢がもし女だったら死んだ妻のような感じになるんだろうか。  けれどいくら妻に似ているとは言え貢は男だ。  そんな彼が膝を抱えて青い顔をしていた。  貢はまだ高校生なのに母親の顔も知らずに育ち、今度は唯一の頼みだった父親を失うなんて。誠は貢が気の毒でしかたない。  これから彼はどうやって生活していくのだろう。  誠が貢の顔を見ると彼は真っ赤に腫らした目を背け、遠くを見つめていた。  貢が小学生くらいの時は誠がよく妻の加奈子と兄の家に遊びに行って家族ぐるみで付き合いがあった。  一緒に色々なところへ遊びにいった。誠が一人で面倒をみなければ行けないときなどは遊園地に貢を連れて遊びに行ったりもした。  けれど次第に貢は中学になると俺らとは遊ばなくなっていき、兄と俺ら夫婦での付き合いだけになった。  あの時ぐらいから貢は誠を避けているようなそんな気もしたけれど、それは誰にでも良くある思春期というやつだろうと誠は思っていた。 「ちょっと誠さん、いいかい?」 「はい」  お通夜が終わったがらんとした会場で、誠は他の親戚に呼ばれた。 「貢くんのこれからのことなんだけどね」 「私達もなんとかしてあげたいんだけどね」 「……」  かわいそうだという気持ちは持ってはいたが、彼らが貢には何もしてあげられないということは生前の妻からよく聞いていた。  亡くなった早坂兄弟の父親史丈はあまり親戚からよく思われてなかった。  史丈の兄弟たちに彼が背負った借金で年中迷惑をかけていたからだ。  父親だけでなくその息子も俺の妻も短命すぎる。  俺の妻の加奈子、兄の武彦、そしてその二人の父親の史丈。  その史丈の弟達治伯父が不機嫌な顔を露にして言う。

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