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第一章 再会 七

 誠は買ってから七年ほどしたこじんまりとした2LDKマンションに住んでいる。  生前の妻と新しい城をそこに決めようとして買ったところだ。三十年ローンは気が遠くなるような年月だったが、誠はそこがとても気にいっていた。  すべての手続きを終えてから夜になってやっと自分の家に貢を連れて行くことができた。 「学費は将来働いてお返しします」  家に行く途中、秋の寒空の景色がグレーのコートを着て歩く貢を包み込んで融けそうに見えた。 「淋しいこと言うな、せめてお前が自立するくらいまで学費は持ってやるよ」  前は妻と共働きで主に家計を妻が担当してくれていたのだが、今は一人でローンを含めた家計をやりくりしている。  そこに貢の学費と生活費がのしかかってくるのでピンチではある。  しかしそんなことは今はいい。誠は貢の腕をつかもうとしたが、とっさに草食動物が逃げるような素早さで誠は彼の腕から逃れた。  そして肉食獣を恐れるように誠を怯えた目で見つめる。 「あのな、別に取って食おうってわけじゃない。それに、俺が気に入らないなら気に入らないでいい。だけどなお前が大人にちゃんとなって、自立できるまで俺はお前を面倒見る義務がある。今日から俺がお前の親代わりだ」

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