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第一章 再会 八

「……」  行く場所もなく貢はどこか観念したかのように誠の後をついてきた。  玄関から家に入るときに一人暮らしをしている誠の家があちこちちらかってることに気づくと誠は慌ててリビングへ向かった。 「ち、ちょっと待ってて」 (しまった。人の事どうこう言える場合じゃなかった)  誠は貢を一旦玄関内に呼び待たせると、散らかり放題のリビングだけでも今片付けなければと上着を脱ぎ、あちこち散らばっている服をまとめて衣装ケースに入れた。いくつもあるカップラーメンや雑誌などをかき集めてゴミ袋に放り込むと、シンクにたまりにたまった皿を洗いだす。  寝室にある大きなダブルベッドで男同士で寝るというものなんなのだが、家にはそれ以外寝具がない。  居間にソファでもあればよかったのだが、キッチンにテーブルがあるだけで、誠は妻とそのうちソファを買おうと言いあいながら結局買わずじまいで妻は他界してしまった。 (呑気すぎたな……)  誠は昔のことを思い巡らせ苦笑いをした。  貢は言葉もなくただうろたえている。  一緒のベッドで寝ることに抵抗があるようだ。  「すまん、仕事とお前のところに通う事ばかり考えていて寝具の事を忘れていた。仕方ないだろ? う~ん、近いうち布団買ってやるから」  そういいながら誠は寝るために無意識にシャツを脱いだ。男らしいたくましい体が露になる。  誠は大学時代にラグビーをしていたので少し体力に自信がある。  背もそこそこある。今働いている結婚式場のスタッフも体力がありそうで、見た目がさわやかで腰も低かったので採用された。  大学時代に学費を自分で払うため接客業を主にバイトしていたのが身に染み付いていたのが功を奏した。  何気なく脱いだシャツをベッド脇にかけていると貢の姿がいつのまにか消えていた。隣りの部屋に行ってしまったようだ。

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