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第一章 再会 十二

「ごめん、なにがなんだかわからなくて、上手く対応できなくて、本当にごめん」  誠はとにかく素直に謝るしかなかった。  息を切らせながらも貢は誠と距離を置く。 「あ、あなたが悪いわけじゃない。でも、ダメだ。発作が起きてしまう。僕に近寄らないで……」  フォローされたのか突き放されたのか理由はわからなかったが、貢の心のなかに鬱積したものは誠の想像を遥かに超えていることだけは確かだった。 「その発作、時々なるのか」  貢は声は発しなかったが頷いた。 「けれど、俺がお前に近づくのになにか問題があるのか?」  尋ねても返事が返ってこない。  まぁいいか。言いたくないのなら無理に聞いてもかえってよくないからな。それにまたそれで無理強いして発作でも起こされたら大変だ。 (また嫌な夢を見てしまった。辛い辛い過去の夢。中学の頃の夢だ。誠さんの家にこれて本当は嬉しいはずなのにやっぱり僕は悲しい体質になってしまったままだった。あいつだけでなく、誠さんに対してまでも……僕は)  胸の奥からこみ上げる苦い感情に貢は眩暈を覚える。  貢は唇をかみ締めて自分の体を抱きしめながらその日はなんとか眠りについた。  そっと貢の眠る部屋を覗き、規則的な寝息を聞いて誠はほっとする。ドアから差す光で貢はまるで時折少女のように見えて、誠はドキリとした。 (馬鹿……俺って奴は変わらないな。またあの時みたいに。何考えてるんだ。気のせいだというのに) 自分で自分のあたまを小突きながら、誠は自室に戻った。

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