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第二章 貢の悩み 七

 心の健康を取り戻すには時間がかかるだろうから少しでも受け付ける食べ物を探すしかない。  体の健康を先に回復させなくては。 (今の貢には俺しかいないんだ。俺が元気を出させてやらなきゃ)  誠に見送られて貢は学校に向かった。 (正直戸惑う……近くに行くと望まない発作が起きてしまうのに、あの時きっときっと嫌な気分にさせたに違いないのに。誠さんは僕なんかを引き取って後悔していないのだろうか。けれど今朝はニコニコしていた。どういうことなんだろう。夕飯も半分残しちゃったのに怒ってないのかな?一時期距離を置いていたのに、僕の親代わりになってくれるって言い出したりして、どうしてそんな優しいのだろう。何か僕に負い目でも? ううん。そんなことあるはずはないよね。そもそも僕が勝手に一方的に想っていただけだし、誠さんは何一つ悪い事なんてしていないのだから)    少しだけ重苦しい気持で貢は最寄り駅についた。  そうだ。今日は病院の日だ。先生にはちゃんと話しておかなくちゃ……。  貢は久しぶりに病院に行く。父親が死んでからしばらく通うことができなかった、薬も今は頓服薬のみになっていたが、最近発作が起きてしまったことはちゃんと話さなければと思っていた。    今日も無難に一日を過ごし、学校からの帰り道。  ここ一年は二ヶ月おきになっていて病院の先生ともほとんど何も話すことがなかった。    けれど自分でも今のような展開になるとは思わなく、これはしっかりと先生に話を聞いてもらわなくてはいけないと思った。  電話で受付に発作の事を話すと、予定外の時間に特別に枠を入れてくれた。  事務員の人を通しての先生からのメッセージは予備の時間だから構わないとのことだった。  病院は学校から二駅先の歩いて10分ほどのところにあった。  受付はこじんまりとしていていつも以上に人が沢山いた。  開業して数年は経つ医院だが、年々通う人が増えているような気がする。  世の中には自分以外にもこんなに悩みを抱えている人がいるんだなとつくづく貢は思う。

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