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第二章 貢の悩み 九

 帰り道夕日が見える電車の窓から貢は走り行く景色を眺めていた。  辺りは次第に暗くなり家やビル、道路などからの光りが灯ってくる。  この一つ一つの光にその中に色々な人が色々な考えを持って生きている。  本当にそれは貢の想像を超えるくらい沢山のことがある。  だから先生の言うとおり、貢みたいな人だってその中にいる。  わかってはいた。  貢はもう自分が男性が好きだという考えを否定するつもりはない。それでいいんだと今は思ってる。  誰に何を言われても今はもういい。  けれど、やっぱりたった一人。あの人に拒絶されることが一番怖い。  何をどう言っても恐らくストレートな彼には伝わらないと思う。  だからこそ、貢の想っていることが彼に知られたらと思うと生きた心地がしない。 (でも病院に行こうと言ってくれた誠さんにこのことをどう話したらいいのだろうか。病院には通っているといえばいいのかな。今治療中だってことを)  貢はどう説明したらいいかわからなかった。  きっとどんなに誠さんがいい人でも貢はこの真実を彼に伝えることはできないと思った。そう思うと辛かった。

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