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第二章 貢の悩み 十二
誠はテーブルの隅に置きっぱなしにしていた学校からのプリントを見た。
保護者面談のお知らせだった。もちろんその日は仕事を休む事にしていた。
貢の部屋のドアにそっと近づき、ドア越しに話しかける。
「あ、あのさ、明後日の保護者面談のことなんだけど……」
顔を伏せていた貢はそっと頭を上げた。
「その、僕でよければ、面談に行ってもいいかな?」
「……」
「だって、その、大事な面談だろう?将来のことも話さなきゃならないし」
しばらく返事は返ってこなかったが、誠は辛抱強く待つことにした。
「……そうだね」
聞き取るのによくよく耳を傾けなくてはならないほど小さなか細い声が帰ってくる。
「そうだよ、一緒に君の将来の事考えて行かなければいけないと思って」
「い、一緒に」
「ああ、君が自立できるまで俺が支えていくから」
しばらくまた返事がなかった。
「なぁ、お腹すいてないか? よかったら夕飯一緒に食べよう」
そう告げると誠は一足先にリビングに戻った。
温かなスープにサラダ、白身魚、漬物、御飯、シンプルなメニューだったが、置きかたは綺麗だった。
そこへそっと貢が姿を現した。制服から私服に着替え、少しだけ緊張した顔をしてテーブルの様子を見ている。
とても綺麗にならべられた食器に戸惑うが、誠が式場で配膳をしているということを思い出した。
「簡単な物しかないけど、食べよう。食は元気の源だよ。食べれば元気も出るし、悩みだってあまり後ろ向きにならずにいられる」
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