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第三章 貢の過去 二

(そうだ。貢の保護者面談)  お皿を洗い終えると誠はキッチンの傍にある冷蔵庫に磁石でくっつけておいた保護者面談のプリントを改めて見た。  学校での貢はどんな様子なのだろう。これは親代わりとして知っておく必要がある。  例え学校での貢がよそいきの顔をしていたとしても、彼を知るための一つのきっかけになればいいと思う。  面談の参加日は決まっていた。もし都合が悪ければ変更を申し出るという形だったが、ちょうどその日は誠もお休みの日だった。  参加日と時間を自分の携帯にメモをしてその日を待ちわびることにした。  面談は親または親がわりになるものが一人で学校の先生と会うものだった。  誠はいつもより少しだけあらたまった格好で学校に行き、貢のクラス2-3組の前にくるとまだ前の保護者と先生が話をしていた。  懐かしい学校の教室前の廊下、すべてのものがどこか小さく見えるような窮屈に感じるような、不思議な感覚。  しばらくして前の保護者が教室からでると一人の小柄な先生が頭をこちらに向けた。   先生は活発そうな髪の短い女性の先生で橋川と言った。雰囲気から察するに年齢は30代後半だろうか先生の中では中堅くらいに感じる。  教室は少しだけ机の列が乱れていた。  自分が通っていた学校に比べると、教壇や目の前の黒板の上などにも目標などが掲げられていたり、今後の予定などが整然と書かれているだけで、おかしな落書きも特にみあたらなく、この学校は普通の雰囲気を感じさせた。

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