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第三章 貢の過去 三

 誠は向かい合わせになった机の席に座ると、自分が親代わりとして貢を引き取った叔父であることを告げた。先生は笑顔で頭を下げた。 「早坂さんはとっても静かですし、真面目な子ですね。成績も比較的良いので今からしっかり対策をしていけば大学受験には十分に間に合うでしょう。その、お父さんが亡くなられた後の様子ご家庭ではどうでしょうか?」 「すいません、貢とは暮らし始めてさほど時間が経っていないものですから、なかなか互いにその、男同士というのもありましてまだ慣れるということに精一杯のようです」  誠の言葉に先生もうなづく。 「そうですよね。色々精神的に辛い時期だと思いますが、こうして叔父さんが引き取ってくださったというのが救いかと思います。あまり思った事を口にする子ではないようで、いつも教室では静かにしています。けれど、授業での態度は悪くありません」 「そうですか……」  誠は家でこちらにあまり視線を向けず、何か一人で考え事をしている貢を思い出した。

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