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第四章 誠の職場 四

 貢が目を覚ますとどこかの医務室のようだった。白いベッドに横たわっていることに気づく。  目の前に薄緑のカーテンが引かれていたので、部屋の全体は見渡せなかったが、ベッドの下から幾つもの配線が見えた。恐らくこの先には様々な医療器具があるのだろう。  しばらくして想像していたのと違う痩せぎすな男の顔がにゅっとカーテンの隙間から現れ貢は一瞬ぎょっとする。 「あ、目が覚めた? 大丈夫」 「は、はぃ……」  貢はなんだか気恥ずかしくなり、小さく呟く。  医務室の先生と心療内科の先生は同じイメージでいた。しかし、だいぶ違うようだ。   「あなたが噂の貢くんね。色白で可愛いじゃない。思ったより元気でなによりだわ。誠ちゃん安心するわね」  声の主がカーテンを全部開けて入ってくると、彼はウェイターの格好をしていた。先生ではなかった。  誠と同じ職場の人のようだ。 「なんでぇもう目ぇ冷ましてたのか」  さらにぬぅと背も高く肩幅の広い大きな男が、そのさらに背後からこちらの様子を見下ろしてきて貢は焦った。  大きな男は彼が持つには小さすぎる丸いおせんべいを器用にかじっている。 「杉ちゃんったら、一応ここは医務室なのよ。汚すの禁止なんだからね」 「かてぇこというなよ。今俺たち休憩時間なんだぜ」 「でもね。あぁ、飴ちゃんなら大丈夫よね。持ってきたからこれ食べるー?」  顔に似合わない笑顔を作り、体も細い痩せぎすな男はポケットから飴の袋を取り出して1つ貢に渡した。 (女の人みたいな喋り方だけど、どう考えてもこの人男の人だよなぁ……。) 「もう二人とも何してるんですか!」  今度こそ医務室の主と思われる看護師の女性が二人を軽くしかりつけるように顔を出した。 「小杉さんおせんべいは駄目、大貫さん飴でもだめです。ここは飲食禁止ですから!」

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