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第四章 誠の職場 十一
職員だけが使用できる、長い絨緞敷きの廊下を重い足取りで歩いていると、従業員の何人かが重そうにゴミを抱えていた。「おい、君、ちょっと手伝ってくれ」
「は、はい」
彼らは貢の姿を見て呼び止める。
彼らの目の前を覆っていた大きなゴミ袋を渡されたけれど、それはとても軽かった。
「このゴミはプラスチックだから、申し訳ないけど0.5階の段下のプラって書いてあるところに捨ててきてくれないか?」
「はい」
途中で従業員と別れて貢だけ階段を下り、プラ専用のゴミ捨て場に向かう。
山のように置かれたゴミ捨て場に似たようなゴミが溜まっていた。そこにためらいつつもぽっとゴミを捨てた。
すぐに引き返そうとして、貢は視線のずっと先に見慣れた人たちを見つける。彼らは大貫と小杉だった。
建物にもう1つある螺旋階段の傍にいる。
思わず声を掛けそうになったが、その動きが一瞬止まった。裏口の階段脇で二人がキスをしていたからだ。
(あの二人、そうか……やっぱりそういう関係だったのか)
小杉の大きな背中で大貫の体はすっぽりと見えなくなっていたが、すっと彼の顔が出てきて貢はあわてて視線を反らすとその場を後にした。
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