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第五章 過去の苦味 二

 朝食はトーストとスクランブルエッグとトマトサラダだった。  またトマトサラダが変な風になっているのを見て思わず貢の胸が痛む。 (僕またやっちゃった? ごめんね誠さん……。なんであんなこと誠さんに言っちゃったんだろう。誠さんきっと混乱している。でも言わずにはいられなかった)  こちらに気を使っているのか、いつもよりあまり構うことなく、大量のバターをたっぷり塗ったトーストをかじりつつも、時折誠はちらちらとこちらを見ている。貢は彼が夕べの事を気にしているのだと感じていた。  でもどうしても誠に視線を向けることができない。  なんとなく気まずい中、朝食もそこそこに貢は家を出た。誠が背後で何か言っていたような気がしたが、それは無視してしまった。  夕べ貢と言い争いをしてしまって、誠はこの間と同じ現象に陥っていた。 (やはりストーカーの話をするべきじゃなかった。余程嫌な事だったのだろう。どうしたら俺はあいつの事を少しでも理解してやれるのだろう)

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