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第五章 過去の苦味 三

 学校へ向かう道すがら貢は上を見ると空までがなんだか嫌な色で自分を責めているようだった。ふっと空が滲んだが、瞬時に目を閉じた。 (だって、叔父さんがいけないんだ。あんなこと言うから……。思い出したくない過去。自分の心に影を落としたことにいきなり飛び込んでくるから……)  相談する気持なんてなかった。むしろ自分がそういう人間だということを誠に知られたくなかった。  けれど一緒に住んでいる以上それは無理なのだと悟った。    空に向かって文句を言っても何も言わずにただただ貢を不安な色で覆っていくばかりだった。  もう気持は整理がついてると思っていた。  そう、誠に再会しなければきっと思わなかったことかもしれない。  そう思いながら校門の前辺りにきていつもの景色にどこか違和感を感じた。  そうここには似つかわしくない。でも明らかによく知った人物が、腕を組みながら笑顔で立っている。  顔をあげその人物と視線が合うと貢は一瞬で青ざめた。    忘れもしない少しだけ口角の上げた笑い方をする背の高い男の顔。  それでも誠よりは低いし、男を強調した胸板の厚さや筋肉、焼けた肌が嫌味にすら感じる。

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