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第六章 誠の心 七

 その後はただ何も言わずに香澄先生は穏やかにうなずくだけだった。 (俺が素直になることで貢を助けてあげられるってどういうことなんだ?)  俺はやっぱりあの頃と変わらずなのか?  今回も無意識に体が動いたのもあいつを助けたい。そんな気持だと思っていたけれど、本当は過去に置いてきた気持を整理することだったのかもしれない。   (貢の一つ一つの言葉にこんなにも動揺してしまうなんて俺らしくない。  俺はもしかしてあいつに昔から特別な感情を持っていたのかもしれない。  もしかして貢も? いや、でも貢はそういう俺に対して拒否反応を示している。匂いを感じたのかもしれない。  拒絶されているんだ。きっとそういうことに。  だからそういう風に好きとかじゃないんだと思うんだが……。  だから俺が素直になったらいけないんじゃないのか?  ああ、もうわけがわからない。  でもここで考えるのを止めるから自分はいけないんだろう。ここで逃げたらきっと後で酷く後悔することになる。もう二度同じことを繰り返してはいけない……。  貢……。お前はどう思っているんだ……。教えて欲しい……)

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