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第六章 誠の心 十一
貢のつぶやくようにいうセリフを聞いて大貫の少しだけ落ち窪んだ目が潤んだ。
「……馬鹿ね、あんたがそうだから、あんた自身が幸せになれないんじゃないの」
それに関しては貢は首を横に振った。
「叔父さんの幸せが、僕の幸せだと思ってる」
「嘘ばっかり……」
軽く貢の頭を小突くとそれでも頑固そうに貢は口をぎゅっと固く結んで俯いていた。
「そっちの意味であんたのことどう思っているかは正直私にもわからないわ。でも誠ちゃんがあなたのこととっても大切に思っていることは間違いないと思うわよ」
「……」
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