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第七章 すれ違う心 一

 遠くに観覧車を見渡しながら貢は嬉しそうにいつもチョコシナモンのクレープを食べていた。    俺がクリームを口の端につけたことを笑っていたけれど、お前も口の周りがチョコだらけだったぞ。    なんだかその時間が妙に幸せだった。  まるで色白の少女みたいな貢は俺の顔をありったけの笑顔で見るんだ。その時の笑顔はまるで花が開いたみたいに見えた。  周りに咲いているパンジーが彼の笑顔をより美しく飾っている。  その時の俺の気持はまるで柔らかな毛布にくるまれたみたいにとても心地いい。    俺の心の変化に最初に気づいたのは妻の加奈子だった。 「誠さん、私あなたが好き」  告白を受けて戸惑う俺の心を見透かしたように、加奈子は俺の気持を制した。

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