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第七章 すれ違う心 五
今二人はリビングのテーブルに対角線に座っている。
「叔父さん僕のこと軽蔑した?」
自傷気味に視線を反らしながら呟く貢に誠は即座に首を横に振った。
「軽蔑なんてしない。少し驚いたけれど、それは軽蔑したからの驚きじゃない」
「……どういうこと?」
「それはそのっ、どういう経緯であんな男と付き合うことになったのかはわからないが、あの男のせいで男が嫌になったのか?」
「男が嫌になったなんてことは……あの男は嫌だけど」
「でもお前は俺に触れられるだけでも嫌なんだろう? ということは男が嫌なんだろう?」
「それは……あいつとあなたにだけ起こる現象で……僕にも何故そうなったのかわからないんです」
「……なんだって?! 俺とあいつが同じってことなのか?」
「そうじゃないです、あんな奴と叔父さんは全然違う」
「なら、何故……?」
そこでふっと誠はあることに思い立った。
「もしかして、お前はお前に好意を持った人間に対して発作が起きるのか?」
貢は一瞬俯いたまま押し黙った。
「なにそれ……そんな言い方したらまるで叔父さんまであの我孫子と同じように僕をそういう意味で好きってことになるじゃないですか」
「……そうなのかもしれない……。貢、あのな、俺は……」
「叔父さん、嘘はやめてよ。そんなはずないじゃないか。あの時、叔父さんは僕じゃなくて叔母さんを選んだ。要するにそういうことなんだよ」
「……」
「あなたがなんか変な気を回して今僕に無理矢理合わせようとしてるだけ。そんなことわかるよ」
「違う。そうじゃない」
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