クレープを食べ終わると互いの顔を見て笑い会った。優しい風が辺りに吹き瞬間俺たちは目が合った。俺は貢の手にそっと触れぎゅっと握った。 　貢もその手を握り返し、少し頬を赤らめた。 　その時間が永遠に続けば良いとすら俺は思った。 　貢はその時の事をどう思っていたのだろう。 「あの時から俺は多分お前に少し恋心の様なものを持っていたのかもしれない。その気持ちがどこかでうやむやになったまま俺は加奈子に……。いや、それを加奈子のせいにはしたくない、でも俺は……」 　 　大きな瞳をより一層大きくさせて潤んだ瞳で貢は誠を見た。 　一瞬泣きそうに眉根を寄せ、何かを言いたそうに唇を開いたけれど、そのままぎゅっとかみ締めてしまう。 　 「僕、もう寝るね」 　そのまま背中を向け部屋に行こうとする貢の細い肩を誠はつかもうとして、止める。 「何故？　どうしてなんだ貢」 「叔父さん、もしかして僕に凄く気を使っている？」 「使っていない。ただ、俺は正直な気持を……模索して……」 「模索して？　違うよあなたは僕に気持を無理矢理合わせようとして、それが思いやりと勘違いしているだけなんだ。むしろ、あなたはとても残酷な事をしている！」 　その場で固まる誠に背を向けて、貢はそのまま部屋に入ってしまった。 　貢はパジャマに着替えると、するすると洗いたてのシーツに包まれた布団に潜り込んだ。 　先ほどまで抑えていた感情があふれ出してくる。 （誠さんの馬鹿……） 　涙が溢れて溢れて止らない。 　もうここにいるのも限界かもしれない。