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第七章 すれ違う心 十三
誠の住んでいる低層マンションとは全く造りが違うと貢は感じた。
まるでホテルにでも住んでいるようだ。一階はホテルのラウンジのようで、色々な人がくつろいでいる。そのままエレベーターホールに向かうと40階のボタンが押され、そのまま信じられないスピードでエレベーターは上昇していく。
きめ細やかな刺繍が施された絨毯敷きの廊下を歩いて行くと一番奥に大貫と書かれた木目の玄関ドアが見えた。
ピンポンと細い指が部屋の呼び鈴を鳴らす。
誰か他に家にいるようだ。
そっとドアが開かれると目だけがギョロリとこちらを向いた。
一瞬怯んだ貢だったが、すぐそれが誰だかわかった。
扉を開くとホテルにいる時のイメージとは全く違ったジャージに少しだぶついたカーディガンを羽織った小杉がいもけんぴの透明の袋を抱えて立っていた。
「もうわかってると思うけどあたしたち付き合ってるのよ」
「はい」
「だから必然的に杉ちゃんにはバレちゃうわけ。それも計算のうち?」
「……いえ」
「その、実は僕もうどうしたらいいかわからなくて、気がついたら叔父さんの家を出ていて、なんでかこれ以上頼ってしまう自分が怖くて……」
「……でもあたしには遠慮なしに頼っちゃうわけね……」
少し目を赤くしながら申し訳なさそうに落ち込む貢に、大貫ははいはいと少し慰めるようにそっと細い指先で貢の頭をつついた。
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