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第七章 すれ違う心 十七
「なぜ、そんなことを今聞くんですか?」
「馬鹿ね、あなたまで目を少し赤くしてて可愛いかったから撫でたくなったのよ」
映画を観ていて自分も目が潤んだことに気づかれて、なんとなく貢は恥ずかしくなった。
「いえ、たぶん……大丈夫かと。大貫さんには結構何度か触れられた事ありましたけど、なんともなかったです」
「あら」
意外そうな声を上げて、大貫がそっと貢の頭に手を置いた。確かにそのまま丸い頭を撫でても貢はどうともならなかった。
「オカマだから問題ねぇんじゃねぇのか?」
小杉の言葉と同時に大貫の鋭い肘が小杉の膨らんだ腹に食い込んだ。
「ぐっ」
「こいつこういう奴でさ、ほんと失礼しちゃうわよね」
「大丈夫です。小杉さんにも触れられた事ありますから」
互いの顔を見合わせて指を差しあう二人の様子に貢はクスリと笑った。
「あら、あんたそんな可愛い笑顔もできるのね」
「いい笑顔だ」
お腹をさすりながら小杉は貢を見下ろした。
大きな手のひらが貢の頭の上に近づく、いもけんぴの匂いがした。
そっと頭に小杉の大きな手のひらがのっかっても貢にはなにも変化は起こらない。
二人は視線を合わせ向き合うとなにやら会議のようなことを始めた。
「どういうことなのかしらこれって?」
「さぁな。無関心な奴には反応しないって奴じゃねぇのか?」
「違うわよ、親切で優しくて幸せオーラを放ってる男には反応しないのよ」
「不幸な奴に触られると発作起こすのか?」
「あの……」
貢の方に視線を戻すと大貫は腕を組んで考える。
「うーん。あなたの発作の原因ってなんなのかしら?」
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